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お粥が出来上がり
寝室を覗いてみれば
眉をしかめたまま眠る直人。
そっと額に手を当てれば、やっぱり熱い。
「…ん……A。気持い…」
そんなに冷たい訳でもないのに
私の手を自分の頬に当て、虚ろなまま微笑んでいた。
「直人、お粥、少しでも食べられない？」
せめて解熱剤を飲ませてあげたいと
もはや親心の境地でそう問えば
「…食べさせてくれたら食べる」
思いっきり甘えた声を出した直人が
可愛いらしかった。
小さめの鍋で半分ほどのお粥と
シャインマスカット数粒をどうにか食べ
息を吐きながら枕に項垂れた。
「薬飲んでよ？」
「…飲ませてくれるんでしょ？」
母親って、こういう感覚なのだろうか。
熱のせいで潤んだ瞳が
儚くて愛おしくて、
何でも言う事を聞いてあげたいと思ってしまう。
「子供みたいよ？」
「…子供はこんな事しないだろ？」
高熱のくせに、私を抱き寄せたその力は強く
「…やっとAだ」
意味深げにそう囁いた。
「直人、薬飲んで？」
「…飲んだら朝まで居てくれる？」
何言ってるのよ。
冗談めかしくそう言い掛けて、言葉を飲み込んだ。
熱のせいじゃない。
その瞳が、揺らいでいる。
「A…どこにも行くなよ？」
「………直人…」
「…病人、置いて帰るつもり？」
穏やかに微笑んで
いかにもジョークの様に誤魔化していたけど
その言葉が熱のせいじゃない事だって
その言葉にきちんと意味が込められている事だって
どんな形であれ
6年も同じ時を過ごして来たんだから
解らない訳がない。
“じゃあ
おもちゃを取り上げられた子供が
拗ねて、ダダを捏ねてるだけとは意味が違うと
気付いてしまった。
「飲んでも飲まなくても朝まで居るけど
どうせなら飲んだら？」
「ははっ、じゃあ飲もうかな？」
気まずそうに目を反らされた事が余計にリアルで
複雑だった。
「A、やっぱ帰りな？うつすと悪いから」
「今更？大丈夫よ、私、健康優良児だから」
直人を一人には出来ない。
そう思う自分の感情が、よくわからない。
腐れ縁？
情？
6年前…私を救ってくれた人だから？
「そろそろ寝て？」
「A、もう一つ薬欲しいんだけど？」
「その薬、高いわよ？」
「知ってるよ？でも特効薬なんだよね」
いつもより温度の高い唇。
幸せそうにほほ笑んだ直人は
瞼を閉じた。
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空(プロフ) - kotanonさん» 更新遅くなってすみません^^;ありがとうございます！３も、お付き合い頂ければ嬉しいです＾＾♪ (2020年6月24日 7時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
kotanon(プロフ) - 空さ〜ん☆更新ありがとうございます！！ これからの展開も楽しみにしてます♪♪ (2020年6月24日 0時) (レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» お久しぶりです！お手間とらせてすみません^^;移行になります！よかったらまたよろしくお願いします＾＾ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 行きましたよ―笑ついでにATMもｗｗ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わ…びっくりしました(笑)お久しぶりです。久々すぎても一度読み返しまーす(笑) (2020年6月21日 22時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月8日 16時
