076 side you ページ26
「…何これ」
「何ってナニ？」
出張土産を届けに来た直人。
玄関先で私をハグするなり怪訝な表情を浮かべた。
「すげー執着だね、
耳の真後ろをなぞった直人にハッとして
洗面に駆け込み
合わせ鏡で確認して初めて知ったその存在。
私から見えない位置へのマーキング。
“俺、Aが…”
あの日。
咄嗟に剛典の口を塞いだ私を嬉しそうに受け入れ
それでもあっさり唇を離したのが
私より
「ははっ、解ったってA。
今は言わない。でも…」
もう一度ゆっくりと近づくその顔は
身動きが出来なくなるほどの色気を纏っていて
ドキドキしていた。
「いつか必ず、言わせてもらうから」
耳たぶを舌で転がされながらそう囁かれ
平静を失ってしまった私。
恋愛に於いて酷く劣等生な私は
遠回しの様で真っ直ぐ伝えられた告白に
どう対処するのが正解なのか解らず、焦っていた。
「かーわい、A」
多分、付けられたのはその後。
全く気付かなかった。
「犯人誰？」
「……」
思い出すだけで胸が高鳴るなんて、どうかしてる。
私を抱きしめた直人にその鼓動がバレないかと
ハラハラしていた。
「昔の恋人？」
「…なんでよ」
「坊っちゃん？」
「…そんなんじゃないし」
広臣と剛典に目星を付けるあたり
さすが直人と感心しつつ
心は動揺しっぱなし。
「付けられたの気付かなかったの？」
「……」
直人の瞳から微妙に伝わって来る哀愁。
今まで直人が付けようとしても拒否し続けて来た。
マーキング自体が嫉妬や独占欲の様で
付けるのも付けられるのも嫌だし
付けられそうになっても交して来たのに
まさか、気付かなかったなんて……言えない。
「気付かないくらい良かったんだ？」
「だから…そんなんじゃないって…」
「別に隠さなくてもいいのに」
「隠してる訳じゃ……」
これ以上誤魔化し切れないと解っていながら
誤魔化そうとしているのは
「魔性かよ」
確実に罪悪感。
「A、抱いていい？」
「……明日早いから無理」
記憶を上書きしたくない。
余程の事がなければしない事なんてなかったのに
直人に誘われ
咄嗟にそう思ってしまった時点で
答えなんて出ている様なモノ。
だけど
「じゃあ、
解りやすい嫉妬に満更でもなく肌を差し出した私は
魔性では無く
馬鹿なんだと思う。
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空(プロフ) - kotanonさん» 更新遅くなってすみません^^;ありがとうございます！３も、お付き合い頂ければ嬉しいです＾＾♪ (2020年6月24日 7時) (
レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
kotanon(プロフ) - 空さ〜ん☆更新ありがとうございます！！ これからの展開も楽しみにしてます♪♪ (2020年6月24日 0時) (レス) id: 3c70e90779 (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ねーやんさん» お久しぶりです！お手間とらせてすみません^^;移行になります！よかったらまたよろしくお願いします＾＾ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
空(プロフ) - ユキさん» 行きましたよ―笑ついでにATMもｗｗ (2020年6月23日 10時) (レス) id: 7cc216fb7f (このIDを非表示/違反報告)
ねーやん(プロフ) - わ…びっくりしました(笑)お久しぶりです。久々すぎても一度読み返しまーす(笑) (2020年6月21日 22時) (レス) id: 8f158f058f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月8日 16時
