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二人での生活が始まってから、1か月ほどが経った
相変わらず、互いの距離は縮まっておらず、あまり生活に変化はない
強いて言えば、阿部が生活に順応したことで、指示を出さなくても自ら動いてくれるようになったことだろうか
「?」
ある日宮舘は、外で何やら物音がして、リビングの窓から様子を窺った
近づいてくる、異形の影
「ジャンク・・・!阿部くん、ここで待ってて!絶対外に出るな!」
「了解しました」
ソファに座ってる阿部にそう伝え、建物を飛び出す
空中で佇む巨大な白いキツネのようなジャンクの前で、足を止める
後ろ足や尻尾はなく、胴体が蛇のように長く伸びていた
ジャンクは口から青い炎を放ってきたが、氷の柱で難なく防いだ
今度は前足の爪を振るい、襲い掛かってきた
攻撃が宮舘に届くより早く、頭上からつららをぶつけ、地面に叩きつける
追撃しようと手を突き出したその時、風を切る音が聞こえてきた
宮舘に向かって、新たなジャンクが突進してきていた
戦っていたジャンクと全く同じ体格だが、体毛は黒い
「もう1体いたか」
それでも、宮舘の敵ではない
手を黒いジャンクの方に向け、氷の塊を放つ
高速で迫っていたジャンクは、その攻撃をかわすことができず、直撃して倒れ込んだ
その間に白いジャンクが起き上がり、口を大きく開いて噛みついてきたが、宮舘はそれを軽やかに回避する
地面に手をつくと、氷の刃が2体のジャンクの足元から突き出し、動きを封じた
次に氷で形成した槍を手に持ち、ジャンク目がけて投擲する
氷の槍は白いジャンクの体を貫通し、そのまま後ろの黒いジャンクをも貫き、一撃で2体のジャンクを串刺しにした
2体は脱力し、同時に消滅した
氷が砕け、雪のように降り注ぐ
小さく息を吐き、建物へと戻る
オリジナルの異能に備わった力か、宮舘にはよくジャンクが引き寄せられる
とはいえいつも易々と退治するため、気にしたことはなかった
リビングに戻ると、阿部がソファに座って待っていた
「お待たせ、ご飯作るから手洗って待ってて」
「了解しました」
立ち上がろうとした阿部は、机に何かが置いてあるのを見つけた
「あの、これ・・・」
「ん?」
そこに置かれている物に、阿部が手を伸ばす
「触るなッ!!!」
途端、宮舘が叫んだ

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天照(プロフ) - さっくさくなパンダかな?さん» 絶体絶命の状況でございます、阿部ちゃん大ピンチです、舘様助けて〜 (1月14日 19時) (レス) id: 8d018a4196 (このIDを非表示/違反報告)
さっくさくなパンダかな? - えっ!どうなんの!ちょー気になる、 (1月13日 22時) (レス) @page18 id: 37232c53cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天照 | 作成日時:2025年1月6日 18時