325 ページ26
宮舘はしばらく、呆然と立ち尽くしていた
レコーダーの再生ボタンを押してみても、もう音声は再生されない
もう、彼の声を聞くことはできない・・・
「・・・・・」
宮舘は顔を上げ、数回深呼吸をして精神統一した
今すべきことは、研究所に向かい、コアとして利用されようとしている少年を救うこと
・・・自分と同じ年くらいで、成長しているから青年だろうか
男性に渡された紙から詳細を読み取り、研究所のある場所を特定する
辺境の地にある、山奥の研究所のようだ
レコーダーを床に落とし、踏みつけて破壊する
そして別荘の場所が記された紙をポケットに仕舞い、宮舘は歩き出した
外にはまだ薄っすらと、雪が舞っている
「マスター、行ってくる」
男性に託された想いを胸に、研究所を目指した
複雑な道を抜け、研究員に見つからないよう木々の生い茂る場所を進む
歩き続け、ようやく建物が見えてきた
自分がいた研究所に似ているが、それよりも小さい
周囲を見回すが、入り口付近に見張りはいない
足音を立てないよう静かに近づき、自動開閉の扉を通って中に入った
入ってすぐの場所は、研究所とは思えないほど綺麗に整っている
表向きは、非人道的な研究とは無縁の施設を装っているのだろう
宮舘は柱に身を隠し、再度紙から情報を読み取る
男性は内部の構造も記録してくれていたようだ
「・・・ここか」
目的の人物のいる部屋を特定し、そこを目指して進んだ
途中、驚くほど誰にも会わない
研究員がいてもおかしくないのに・・・
とはいえこれは好都合であり、急いで目的の部屋へと向かった
奥に進むほど廊下は暗くなり、エントランスとは打って変わって不衛生である
廊下を進んだ先にある扉の前で立ち止まる
ここが、目的の場所である
扉を開けようとするが、ロックがかかっており開かない
宮舘は氷の塊を放ち、扉を破壊し強引に中に入った
「・・・・・！」
正面の作業台で、一人の青年が眠っていた
薄暗い部屋に見合わないほど、その表情は美しく、そして儚げだった
体は痩せ細っており、少し触れただけで折れてしまいそうな手足
その姿に、本能が守りたいという想いを駆り立てる
・・・彼が、ブレイクアウト・コア・・・
青年をそっと抱きかかえ、宮舘は部屋を出た
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 253人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
天照(プロフ) - さっくさくなパンダかな？さん» 絶体絶命の状況でございます、阿部ちゃん大ピンチです、舘様助けて〜 (1月14日 19時) (
レス) id: 8d018a4196 (このIDを非表示/違反報告)
さっくさくなパンダかな？ - えっ！どうなんの！ちょー気になる、 (1月13日 22時) (レス) @page18 id: 37232c53cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：天照 | 作成日時：2025年1月6日 18時
