【wrwrd】悪役令嬢に転生したので回避しながら生きてみます

第二十九話「お嬢様らしくない」 ページ30

ここにいないコネシマとショッピは最近、騎士隊の訓練に参加しているようで、昼は一緒にいない事が増えた。そうやって自ら選択肢を増やすことはとてもいい事だと思う。

取りに行こうとしたが一緒に行きたいと言われ、私とオスマンは廊下を歩いていた。

『オスマン様はアレルギーなどは無いですよね？』

「おん、ないで。確か大先生がアレルギーか分からずにリンゴ食べて大変な目に遭ったんやっけ？」

『あの時は本当に、驚きましたよ…。』

お互いの家でお茶会をするようになったある日、街に出回っていたリンゴを使ったアップルパイが提供された。もちろん毒なんか入っておらず、みんな美味しそうに食べていた。

が、鬱だけは違ったのだ。口の中が痒いと言う。念の為、ということでしんぺいさんに見てもらったら口の中は腫れていた。検査の結果、彼はバラ科アレルギーと診察された。

少量でも食べたらマズイらしいが、りんごオンリーのパイだったので、更に症状が酷く出てしまったらしい。そこから気を付けたり別のもので代用したりしている。

「ちゃんと気遣い出来てAちゃんは偉いめう」

そうして頭を撫でられる。最初はこういうことするキャラだったか？と疑問に思ったがそもそも原作ではオスマンとここまで絡まないので考えないことにした。

『友人のことを気遣うのは当然の事ですから。』

アレルギーの恐ろしさは知っている。この世界ではあまり聞かないが、前世では何度も聞いていた。下手すれば死んでしまう程に恐ろしいのだ。だからちゃんと気遣う。というか、注意する。死なれては困る。

「Aちゃんは令嬢っぽくないめう」

オスマンの方を見れば何かを見透かすかのように新緑色の瞳がこちらを見ていた。いつ開眼したんだ。

『…もう少しちゃんと振舞った方がいいですか？』

「そういうんじゃないで」

でもその瞳はすぐに閉じて、いつものように見えなくなった。
これでも、それなりに頑張ってるつもりなんだけどな〜。上も下も分からないなりに、パーティにやってくる令嬢の雰囲気を掴んで自分なりに振舞っていたつもりなんだが、現実はそう甘くないようだ。

「Aちゃんはいい子めう」

『ありがとうございます？』

また頭を撫でられた。なんだ、そういう癖か？人の頭を撫でたいという癖？そういえばサブストーリーでオスマンは士官学校の入学式で出会ったひとらんらんの尻を撫でたとかなんとか。そういう感覚なのか？？

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