オンマ系男子

お互いに ページ41

ギョンス、怒ってるかな


…怒ってるよね

せっかく準備してた資料を私がバラバラにしちゃったんだから




どうして私はこうやって空回りしちゃうんだろう


料理も出来ないし、気も利かないし

その上 仕事の邪魔をする


最悪だよ



こんなの、振られたって文句は言えない




「ぅ…」



堪えていた涙が溢れ出す



「うぅ…嫌だよぉ…」



ギョンスに嫌われたくない

ずっと傍にいたい


出来ることなら

時を戻してほしい


そうしたら、今度はきっと上手くやるのに



「…ひっく

ギョンス…ギョンス……」



雨が徐々に強まっていく


屋根の下で雨宿りをしているから 身体は濡れていないはずだけど、凍えるくらい冷え切っている


不安で心が震えている所為だ



「っ…う、」



謝らないと

早く帰って
許してもらえるまで謝ろう



そう思うのに

一歩踏み出す勇気が無い



「……」



目をぎゅっと瞑って

小さくなって座った自分の身体を強く抱きしめる








すると



遠くの方から

誰かが走って来る音が聞こえる






「A！」

「え…

ギョ、ギョンス」


驚いて顔を上げると

頭からつま先まで全身ずぶ濡れになったギョンスが立っていた


「ど…な、なんで、
傘は？
こんなに濡れたら風邪引いちゃう」

「……」

「何か拭くもの…
無いや、ごめん。

早くシャワー浴びないと。身体冷えてるから、しっかりあっためて」


濡れた頬に触れるか触れないか迷っている手を

ギョンスが捕まえた


「…ごめん。鬱陶しかった？」

「え？」

「や、ほら…私の手が、行ったり来たり」

「……」

「…

ごめん」



沈黙が怖い


ギョンスが別れを切り出すのではないかと、緊張が走る







「A」

「…はい」


嫌だ

嫌だよ、ギョンス


私 別れたくない






「ごめん」

「……」

「酷いこと言って、ごめん」

「…

…え？」


思っていたのとは違う言葉


目に溜まっていた涙が
ポロッと溢れる


「傷つけたかったわけじゃない。泣かせるつもりもなかったんだ」


雨に濡れた温度の低い手が

優しく涙を拭う


「小説が上手く書けなくて…その苛立ちをAにぶつけた。八つ当たりだったんだ。本当にごめん」

「ううん、違うよ。あれは私が」

「俺が悪かった」

「……」

「思ってもないことを言って、Aを傷つけて、謝るのも遅くなって……本当にごめん」


そう言って深々と頭を下げる

ありがとう→←後悔先に立たず

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