第1話 日常1 ページ1
ポートマフィア本部ビルは、縦にも横にも広い。
本部には様々な部屋があり、ポートマフィアの頂点に君臨する森鴎外にはもちろん、幹部たちにもそれぞれ大きな私室が与えられる。
それは社内で重要な部隊、重要なポストに位置する人材にも必ず同様に様々な部屋が存在する。
そしてここは、ポートマフィアに雇われたある殺し屋の仕事部屋。
「なのになんで君らはここにいるの?自分らの部屋で仕事しろよ」
「いや、だってねぇさんの部屋が一番落ち着くんすもん。」
「人の部屋が一番落ち着くって何?」
「ってかなんでお前の部屋俺の部屋よりデカイんだよ」
「それは私があんたより仕事できるからよ」
「んなわけあるか」
私のために設置されたキッチン、空調、机に椅子。
私のために用意されたティーカップ、ティースプーン、茶葉。
それを本人の許可なくまるで自分のものかのように一抹の後ろめたさも見せず悠々と扱うのは、黒蜥蜴のメンツと中原中也。
「うっわお前目つき悪っ。なんかあったのか?」
「駄目っすよ中原さん。元々っす。」
「お前らあとでまとめて始末してやるから覚えとけよ」
一応黒蜥蜴の上司ではあるものの、元々上下関係を好まない私にとっては、立原や銀のとってくれる親しい距離感はとても嬉しい。
だからこうやっていつも遊びに来てはくれるが、なんか差し入れとかさ、してくれてもいいと思うんだ。一方的に部屋のものを食べたり飲んだりするんじゃなくてさ、一応自腹のものもあるし。
「前から思ってたけど、なんで君ら勝手に部屋入れるの?」
「毎回中原さんに入れてもらってます。」
「おいてめぇ、中原中也こらお前」
「いやぁ、部屋の合鍵貰えるってのはやっぱ彼氏の特権だよな」
「そっすね!」
「悪用しすぎだわ」
はぁぁーと、ため息を吐く。
こればっかりはもう仕方ない。これからは黙認しよう。こっちが疲れる一方だ。
...私そんなに目つき悪い?
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作者名:花穏 | 作成日時:2019年8月25日 17時