エピローグ ページ17
エピローグ
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まだ人の息の混じっていない、清澄な朝の空気に、新しい命の産声が鳴り響いた。
そしてその瞬間、生命の息吹が吹き込まれたかのように、空気は生き生きと弾んだような感じになった。
小さな病院の分娩室では、その赤ん坊の両親が涙を流しながらその命の誕生を喜んでいた。
｢A、頑張ったね…ありがとう｣
Aはありえないほどの痛みを乗り越え、壮大な疲労感で言葉もでなかった。
しかし、赤ん坊の顔をひと目見ると、そんなものは吹き飛び、喜びが溢れるばかりになる。
｢私の…赤ちゃん｣
｢そうだよ。女の子だって｣
｢私と樹の…女の子｣
｢うん｣
｢すごい…本当に産まれたんだ｣
こんな時でもAは少し突飛な言葉を口にする。
そして、その時少しだけ、赤ん坊が笑ったように樹は感じた。
｢パパだよ、はじめまして｣
｢あ、ずるい。ママが先だよ｣
そんな温かな空気は、病室に戻っても変わらなかった。
赤ん坊は一旦看護師さんに預けられたが、それでもふたりはずっと赤ん坊の話を続けていた。
樹はベッドの上のAの手を握りながら、ニヤニヤしている。
｢樹、顔がすごいよ。ニヤニヤしすぎ｣
｢だって嬉しいから、ついつい｣
｢もうパパの顔だ。いいパパになるよ｣
｢親バカになりそうだな。ずっと写真撮っちゃったりしてさ｣
｢うわ、想像できる｣
ふたりは笑い合い、喜びを分かち合う。
｢でもさ、今まで通り、私にもかまってね｣
｢なになに、もう嫉妬?｣
｢うっさいな…樹があまりにもデレデレしてるから、少し不安｣
｢あんま可愛いこと言うなよ…もうママなんだから｣
｢ママになっても、おばあちゃんになっても、私はずっと樹のお嫁さんです｣
｢…はい、そうですね｣
｢だから、樹はいつまでも私のものです｣
｢ふふ、わかったよ｣
｢浮気しちゃダメだよ?それがたとえ、娘でも…許しません｣
｢はいはい、わかりました｣
そう言って樹はAに優しくキスをする。
するとAは安心したように、深い眠りについた。
Aの寝顔を見ていると、あまりの幸せに樹の目からは涙がこぼれ落ちる。
これほどまでに多幸感に包まれた朝は、きっとふたりが生まれた朝ぶりだろう。
ふたりの物語が、一区切りついた。
しかし、物語はこれで終わりなわけではない。
きっとこれから先も、ふたりは幸せに向かって歩き続ける。
愛する気持ちを忘れない限り、それは…永遠に。
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さいか(プロフ) - リリーさん» コメントありがとうございます！最後まで楽しんで頂けたなら、本当によかったです！ぜひぜひ、次回作も楽しみに待っていてください！ (2019年2月3日 0時) (
レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
さいか(プロフ) - なるみやさん» コメントありがとうございます！お褒めの言葉とても嬉しいです！最後まで書いてよかったと思えました。ぜひ、次のきょもほくもよろしくお願いします！ (2019年2月3日 0時) (レス) id: f4b2406715 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 完結お疲れ様です！今回も素敵な作品で最後まで物語の世界へ引き込まれていきました。何度も読み返したくなるような…。次回作も期待してます！ (2019年2月2日 22時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
なるみや(プロフ) - はじめまして。完結おめでとうございます！とても言葉のチョイスが素敵で惹き込まれました(;_;)それぞれの思いが交差して絡まって最後は綺麗に解けていく、そんな風に感じました。次のきょもほくの作品もとても楽しみにしています！ (2019年2月2日 21時) (レス) id: 3d9da8fdcf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さいか
| 作成日時：2019年1月25日 20時
