＿第３話＿ ページ3
.
赤く燃え上がる炎に目を眩ませる。
無傷のこの集団がクルタ族を襲撃しているという現状はすぐに理解できた。
外を見て、想像以上の惨状に驚きはしたが、捕らえられている同族で、よく私に危害を加えてきた村人に目を落ち着かせた。
「あなたたちがほしいのは緋の眼？」
先程まで扉の所にいた男は、その問いかけにただ短く「あぁ」と答えた。
「"眼"はあげる。だからそいつの“命”ちょうだい」
男の仲間たちはその発言に驚きを隠せず、男の言葉を待った。
目を向けられている同胞は恐怖で体が震えていた。離れているここからでも分かるほどに。
男は「構わない」と返した。
男と会話をしながらも視線を外さなかった私は、村人に近づき髪の毛を掴んで引きずり、襲撃で出来た瓦礫の上に登り始めた。
こいつは、わたしの首をしめて殺したひと。
ある程度の高さまで瓦礫を登り、村人の首を掴んで足が地につかないよう持ち上げた。
村人は苦しそうに顔を歪めている。
◇
俺はその光景を見て心底思った。
10歳にも満たない＿＿いや、5歳ほどか？
それ程の少女に、痩せすぎともとれる体に、一体どこにそんな力があるんだ？
団員達も静かに行く末を見守っている。
首を意図的に軽く締め付けているのか、持ち上げる力に集中して締め付ける力がないのか定かではない。
恐らく前者だろうが、とにかく薄くとしか呼吸ができず、その上に自分の体を首で支えているようなものなので、相当辛いだろうことは誰が見ても伝わった。
それは行ってる本人が一番理解しているはずなのだが、少女は言った。
「くるしい……わけないか」
◆
じぶんがされて嫌なことは、あいてにもしてはいけないって、だれかが言ってるのを聞いたことがある。
だからこのひとも、自分がやられて苦しいなら、他のひとにそんなことしないはずなんだ。
わたしはこれやられて苦しかったんだよ。
あの苦しさ、わかってくれるといいな。
村人が気を失う直前にギュッと力を入れると、ゴキッと首の骨が折れる音が聞こえた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 626人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「HUNTER×HUNTER」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ジユウジン(プロフ) - かかかっかさん» お待たせしました！ 実はこの先どう話をつなげようか全く思いついておらず……笑 少しずつでも進めていきますので、続編でもよろしくお願いします！ (2020年11月23日 22時) (
レス) id: 7b9e53fa76 (このIDを非表示/違反報告)
かかかっか - 今日更新日じゃあないですかあぁーーなんて奇跡！ (2020年11月23日 13時) (レス) id: be021bd9b1 (このIDを非表示/違反報告)
ジユウジン(プロフ) - なつみかんさん» コメントありがとうございます！そんな風に言って頂けたのは初めてで嬉しいです…！私も今後書けるのが楽しみで、早く更新していきますね！体調崩せばゆっくりできるので更新できるのでは…と考えてしまいました笑 なつみかんさんもお気を付けください！ (2020年2月13日 0時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
なつみかん(プロフ) - かわいい...優しい気持ちになれて素敵な小説です、タイトルや種族のところを考えるとなんだか不穏ですが、それも楽しみにして更新待ってます！作者さんお身体には気をつけてくださいね！ (2020年2月12日 15時) (レス) id: a4479fa504 (このIDを非表示/違反報告)
ジユウジン(プロフ) - うらららリンゴさん» コメントありがとうございます！クラピカや主人公組……というより原作に入るまでまだまだ時間がかかりそうなのでしばらく出てこないかもしれません……。そこまで進んだ時には、ご期待に応えられるよう頑張りますので今後ともよろしくお願いします！ (2019年12月15日 9時) (レス) id: 9a91ee94b5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジユウジン | 作成日時：2019年11月14日 17時
