勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

とある出会い ページ5

「......」



私は何もすることが無く、歩いて隣町の栄えた場所に来た
そしてこの街で朝から晩まで酒場で飲んだくれている
もう一週間、泣きながら酒を飲んでいた
1度吹っ切れたものの、やはり何年も共にいた仲間に裏切られてしまったのはとても辛い
さすがに通報が入ったのか、深夜賑わう酒場で兵士に肩を叩かれる



「どうし......っ酒くさ！」


「顔真っ赤だぞ......って、美人だな姉ちゃん」


「ひっく、うるひゃい......邪魔しないで」


「俺ん家来るか？」


「おいおい！不純だぜ」



思考がぐるぐると回り、何を言われているのか理解できない
久しぶりに飲み過ぎたかもしれない、村一番の酒豪と呼ばれた私もダメダメね



「もう帰る......」



そう言って立ち上がると、私はふらついて兵士に抱き着いてしまった
騒がしい声が耳に響き私は肩の上で唸った
ぐわんぐわん、と頭に痛みが広がる



「うし、美人の姉ちゃん持ち帰りだな〜」


「はぁ？俺も連れて......け」



言葉を詰まらせる男の肩を、無言でもう1人の男が掴んだ
その男に慌てて兵達は頭を下げて去ってしまった
何が起こったのか分からず支えを失った身体はその男に委ねられた



「貴方、名前はなんですか」


「......ユリ。ぐっ......ひ、す......捨てられたのぉ.......ひどいのよ、話を聞いてぇ......」


「......そう言って村中の人に絡み回っているみたいですが、仕方がないですね」



そういうと私は男の人におぶられて何処かへ連れて行かれる
自分の身に危険が......とも、思わなかった
この男から敵意を感じない、私に危害は加えない
大人しく揺られていると睡魔に襲われ、男の背中の上で深い眠りについた

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