勇者パーティから追い出されたので移動式料理店はじめます。

試験開始 ページ22

「終了です、ペンを置いて下さい」



筆記試験が終わると、周囲から溜息や安堵の声が聞こえてくる
私も大体は書くことができた、順調にいけば基準点は越えているだろう
私達は校舎へと移動すると、そこは美しい花々で彩られた庭と広い土地が広がっていた
......普通の学校の校舎は、絶対にこんな広くないわ
私が呆れ半分で見ていると、アイトが剣技を披露しているのが見えた
剣筋を見抜いて避けていくアイトに相手はタジタジで、隙を突いてアイトは相手の剣を弾いた
剣は円を描いて地面に突き刺さると、審査員が書類に評価を書いていく
アイトが剣を鞘に仕舞うとその凛々しさに見惚れてしまった
見てみるとそれはどうやら私に限らず、周りの女子達の会話は可愛らしくアイトによって彩られていた
その空気を断ち切るように女性がパンパンと手を叩いた



「1番の方から始めます」



どうやら受験者同士ではなく、この女性とするみたいだ
受験者達は女性に魔法を打ち込んでいくが、相性の悪い魔法で次々と打ち消されていく
......まさか、全属性の魔法を使えるとは
こんな子は中々いない、私だけだと思っていたわ！
私が脳内でドヤ顔をかましていると、ついに私の番が来てしまった
全属性を使えると言っても今までの魔法の威力から水魔法は得意ではないと予測する、それなら______



「雷樹(ライウッド)！」



私は片手を前へ伸ばしそこそこの威力である雷魔法を飛ばした
狙わずとも対象へと向かっていくこの魔法は避けようがない
怪我をしなければいいけど、と見ていると女性はあっさりと魔法を相殺させてしまった
私が驚いた表情を浮かべると女性はくすくすと笑ってみせた



「全力を出さないと、この試験は不合格になりますよ。もう一度チャンスをあげます」


「......いいわ、受けてみなさい！」



こんなに挑発を受けたのは初めて
私は最大威力を出す為に詠唱を始めた
私が創作した魔法で、使う機会が全くなかった魔法だ
これを使えるなんて......最高の気分！
周囲にはざわめきと共に雷の弾ける音が聞こえる
この子なら無事でいられる
......多分！



「______雷龍弾！」



頭上で龍が雷の弾を吐くように、巨大な雷の塊が女性に勢い良く向かっていった
雷(いかづち)が落ちるような激しい破裂音が聞こえると、周囲は砂煙で見えなくなった

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