転入生 ページ4
待ってろ、と廊下で待たされ5分。
突然教室が騒がしくなると、
中から先生の気の抜けた「入れー」の声が聞こえた。
ドアを開けて中に入る。
すると騒がしかった教室がは一気に静寂に包まれた。
「転入生のAだー女子だからってお前ら騒ぐなよー」
静かすぎる教室に先生の声が響く。
恐る恐る俯いた顔を上げると、本当に男の子ばかり。
「ほら、挨拶しろ、挨拶！」
「……A 緋織。よろしく。」
「えっ！！挨拶短っ！」
黒髪の男の子がケラケラ笑いながら大声で言った。
それを合図にまた教室が騒がしくなる。
「あー黙れ黙れ。お前ら騒ぐなうるせーなー。A、お前の席1番後ろな」
そう言うと先生はホームルーム終わりだ、1限の準備しろーと
付け足し教室を出て行った。
壇上を降りて自分の席に向かう。
どうやら紅一点であるわたしの動向は
今のクラスで注目の的みたい。
席についても、1限の先生が来ても、
黒板を見なさい！と先生が怒りながら授業をしてても
何をしててもクラスの視線が痛い。
教科書は購買で買い揃えなくてはいけないらしく
とりあえず午前中の授業は聞き流して終えた。
流石に4限終えてみんなの視線も痛くないだろう、と
甘く見ていたのが…
そうだ、ここ元男子校なんだった。
昼休みになると、どこからか聞きつけたのか
他のクラス、違う学年の生徒たちまで
教室に来る始末。
そんなに女子が珍しいの？
まあ、珍しいか…。
昼休みに購買で教科書とパンを買おうと思っていたのが
こんな騒ぎで教室から出るのも面倒くさそうだ。
そんな流石の私も少しイライラしてきた時だった。
「大丈夫？」
1人の男の子が声をかけてきた。
「…あー…うん…」
「教科書、買いに行くの？」
「…あとパンも」
「だよなー、けど後の方がいいよ」
「…？」
「昼休み購買混むし、この状況だし。
あ、俺田中樹ね、よろしく！」
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作者名：hiori | 作成日時：2019年10月3日 2時
