好きです。だから。さようなら。2【降谷零】

30’アセロラブラマンジェ ページ30

深々と頭を下げる


大人になるまで待つって言ってくれたのに、今答えを出してしまった


否定の謝罪


砂がただ一面に広がっている


でも頭の片隅で、

金髪を揺らしながら

褐色の腕で頭を撫でて

青い目を細める



そんな兄の姿が焼きついて離れない



...今さら、どんな顔して松田さんに向き合えばいいの


強くきつく目を閉じかけた瞬間に松田さんの手が頭に乗せられた


「ちゃんと言えるじゃねーか」


予想だにしない言葉に顔を上げる


そこにはいつものように余裕の笑みを見せる彼がいて


「分かってたよ。Aがまだ降谷を好きな事


だからこそ弱ってるところを漬け込んで振り向いて欲しいなんて魂胆があったし、無駄な悪足掻きだと知っててAが欲しかった」



そっと握られた手


優しくその手を引かれて抱き締められた



「最後だから。少しだけこのまま黙って抱き締められて」


背中に回る手がなんだかきつく感じられる



『...っ』


溢れてしまった涙

砂浜に涙の跡を作る







背中に回された手が離れ、お互いほんの少し距離を取った





『松田、さん。...ごめ＿＿』

「アホか。謝るな」


そう言って謝罪を遮った松田さん


「Aが謝る事なんて無い。いいから笑っとけ」


優しく頭に乗せられた手が大丈夫だと、自信持てと伝わってくる




「今度こそ逃げないで伝えるんだぞ？もし降谷がまた否定するような事言ったら一発ぶん殴りに行ってやる」

『暴力は駄目ですよ』



風にさらされ涙が急激に冷えていく



松田さんに力なく笑った



『＿＿松田さん。私、兄の事はもういいんです』

「え？」




徐々に曇る表情に細く息を吐いた



『私実は＿＿』

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