好きです。だから。さようなら。2【降谷零】

24’洋梨のタルト・タタン ページ24

『美味しい...！』

スイーツの美味しさを噛み締めていると、何やらお皿に敷かれたコースターに文字が記されていた


「商品ごとにちょっとした説明みたいなのをコースターに書いてあるらしいな」


気付いた松田さんが口を開く。流石リサーチ済み



それにしてもコーヒー飲んでるだけなのに様になるというか。心なしか周りの女性客もチラチラ視線送ってるし



『お洒落なコースターも人気の理由の一つなんですかね...』


ナイフとフォークでタルトを少しズラす




[洋梨のタルト・タタン]


＿＿林檎の代わりに洋梨を使った商品

タルト・タタンとは、元々タタン姉妹がタルトを作ろうとして失敗したものからうまれたスイーツ




＿＿洋梨は、着果過多によりある程度実を切り離し、甘く実ったものを使用




『June drop...』


呟いた瞬間、何だか嘲笑うかのようにスイーツが光り輝いて見えて。



自分自身を守る目的もあって実を切り落とす、なんて




＿＿もうどうだっていいのに


**




お会計を終えてお店から出る


次は何処に行くのだろうかと松田さんに視線を送った


「Aは何処か行きたい場所とかある？」

『いえいえそんな！松田さんの折角の休日を頂いてる訳ですし、松田さんの行きたい場所で...あと、我が儘とか、何でも申し付けて下さい！』


あれ、我が儘って使うのは違ったかな


自分の言った事に首を捻っているとクスクスと笑みを溢した



「じゃあ一つだけ、俺から我が儘言わせて貰おうかな」

『是非。ですが高い物はちょっと...』

「そんなんじゃないっての」


松田さんの真剣な瞳と交わった




「今日だけは、他の誰も考えず俺の事だけ考えて」


伸びてきた腕が私の頬に触れ、周囲の目なんて考えてられなくなる



...気を遣わせてしまったんだろうか



『...松田さんの事だけを考えます』



松田さんの手に自分の手を重ねて言葉を繋いだ

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