Maybe.Ⅲ (ページ4)

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「58kgくらいですかね……」

「ありがとうございます」

　康二はメモをとって、患者さんのところへと移動する。

「今回担当します。向井康二言います。よろしくお願いします」

「お願いします」

「今、痛みはどうですか？」

　康二が患者さんに質問をしながら、体の状態を見ていく。その間に、俺たちは点滴の準備をしたり、患者さんの持って来た荷物をまとめたりする。

「康二、検査って出てる？」

「何も出てへんよ。ありがとう。点滴が生食だけ出とるで、それを持って来て欲しい」

「分かった」

　康二に頼まれた通り、点滴室へと向かう。

「増田さん！？大丈夫ですか！？分かりますか！？」

　康二の大きな声が廊下に響く。

「ん！？」

　それと同時に、病棟内にアラーム音が鳴り響く。注意喚起アラームよりも上の警告アラームだ。
　俺は走って病棟内を駆け抜け、康二がいる3号室へと向かった。そこには既に、病棟内の看護師が勢揃いしていた。

「康二！どうした！？」

　患者さんの元へ駆け寄ると、さっきまでしっかりしていた患者さんは目を瞑ってしまっている。モニターを見ると、脈は速くなっていて血圧は80台まで下がっている。患者さんの顔色は真っ青だ。
　
　