Maybe.Ⅲ (ページ22)

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　あの後、他の先生もいたので、俺は産婦人科病棟へ戻って仕事を続けた。時間になり、今日は他の先生に任せて定時で帰らせてもらうことになった。

「ん？」

　その途中、廊下のソファに座っている男の人を見つけた。よく見ると、それはよく見知った相手だった。

「お疲れ様」

「ん？あ、涼太……」

　渡辺翔太。俺の幼馴染みだ。生まれた病院が一緒で、通った幼稚園が同じでゆり組だった。小学校で地区が違ったので一度は離れたが、中学校の時に通い始めた塾で再会した。その後は、2人で一緒に勉強を頑張って、同じ高校に通って、その後も同じ大学に受かった。今は、同じ病院に勤めている。これが神様の悪戯なのか、はたまた運命の巡り合わせなのか……。

「お疲れ……」

「随分、疲れてるね。大丈夫？」

「ん？うーん……」

　翔太はソファの背もたれにもたれかかる。

「ちょっと……大丈夫じゃない……かも……」

　天井を見つめて、震える声で口にする。

「千賀先生に怒られちゃった……研修医を整形外科に勧誘するのもいいけど、まずちゃんと患者を見に行けって……検査結果もちゃんと確認しろって……基本的なことばかり注意されて、情けないなって……」
　
　