6月の花嫁

6月の花嫁 ページ20

「ありえないいい！！こんな大事な日に寝坊なんてぇ！やだどうしよう！顔むくんでる！！一生で一番大事な日なのにぃい！」


「…っるせえな…少しは落ち着けねぇのかお前は」


「ユンギは落ち着きすぎ！！始まるまでもう時間ないんだけど！？もー！昨日だから早く寝たかったのにぃー！！！」


「しょうがねぇだろ、お前が大事にしてねユンギさんなんてご丁寧に音符マークまで付けられたらたたねぇもんもたつだろ」


「ちょっ…！朝からやめてよ！！」


「昨日は珍しく可愛かったなぁ〜？Aチャン？」


「ぎゃあああ！やめて！そのいやらしい笑みで私を見ないで！！」


「んなこと言うなって。朝から規則正しく二人で運動でもするか？」


「こ、な、い、で！！！」





ユンギの悪い手から逃げベランダまで出ると雨マークの天気予報とは裏腹に雲ひとつない晴天の空が広がっていた



何だかそれが嬉しくってわぁなんて短く感嘆の声をあげればスルッと後ろから抱きしめられた





「晴れたな」


「晴れたね」


「…」


「…ねぇ、ユンギ」


「あ？」


「ジューンブライドって知ってる？」


「…なんだそれ」


「フフ…6月に結婚したカップルは一生幸せに暮らせるっていう意味なんだって」


「…」


「ねぇユンギ…ずっと一緒にいようね」


「…お前が街中のイケメンとかに目移りしなければ嫌でもそうなるだろ」


「な、何それ！！」





私から離れ部屋の鍵を取ったユンギがふと私に手を差し伸べた





「…」


「ほら、行くぞ。遅刻だけは避けたいだろ？」


「…うん！」




ユンギの白くて華奢ながらもゴツゴツした手をしっかり握る





遠い未来のことなんて誰もどうなるかなんて知らない



怖くないと言ったら嘘になる



けど



今私の手をしっかりと握る彼とは子供ができてお母さんお父さんになっても年をとっておばあちゃん、おじいちゃんになってもずっと一緒にいる



そんな気がするの





6月の空にしたら綺麗すぎる青空の下、生涯隣に居続けるであろう彼の手をしっかり握りしめた




fin

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