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「久しぶりに会ったのに説教したくないけど
俺はそんな顔のAちゃん、見飽きちゃったよ」
『…分かってる。ほんとダメだね』
彼から注がれる視線から、言わんとする事が伝わって来て少し痛い気持ちを我慢する。いつまでも変わらないのは、私の心が弱いからだ。強く。そう、母になれば強くなるのかもしれない。なんて子供染みた考えを巡らせながらひたすら車を走らせた。
「北斗とは？どうなの？」
『順調、かな』
「どういう意味で？」
『びっくりするくらい、夫婦になれたの。夫婦というか、恋人に近いけど』
彼はまだ窓の外を見ながら、うんともすんとも言わずに私の話をただ黙って聞いている。私はそのまま続けて話した。
『子供が出来ない事を除けば、順調なの』
その言葉は私自身にも重くのし掛かってきた。元は何の為の結婚だったのか、私はそれを忘れかけていたのだ。北斗はそうではないみたいだけれど、親からしたら大誤算なのだから。
「まあ、おめでたじゃないのは分かってたけど結構深刻じゃない？それ」
『今度北斗も検査するんだ、結果が出たら分かる事だけど』
「…もし、北斗との間に子供ができないってなったらどうするの？」
考えなかったわけじゃない。その可能性がある事には変わりないのだから。でもそうだとしても、彼の力になりたいとそう思ったんだ。私の支えになってくれた彼を裏切る事なんて、出来ない。裏切れない。
『…どうもしない。でもそれを許してくれるかどうか』
「北斗じゃなくて、家か」
『私の役目を果たせなくなるんだから、何をされても文句は言えない』
そうだとしても、彼を裏切る様な真似などしたく無い。これは愛以外の何者でもない、そう信じているのだ。これが私の信念で、今の心の拠り所であり誰にも侵されない聖域といっても過言ではないのだ。
「…やっぱり、変わったね」
その言葉に込められた彼の皮肉に気が付かないフリをするのが精一杯で、私はアクセルを踏み込んだ。
暫く沈黙が続いて、ここで降りると彼が呟いた。
「ちょっと急用を思い出したから」
『うん、じゃあね』
「またね」
またね、と言ってくれたことが何だか嬉しくて。
京本くんの存在は不思議だけれど、私にとって必要不可欠なものなんだと思い知ってしまった。
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：絹(プロフ) - みなさん» ありがとうございます〜(/ _ ; ) 期待に応えられるようにがんばります◯ (2019年8月4日 0時) (
レス) id: c52fa03a53 (このIDを非表示/違反報告)
みな(プロフ) - 何回読み直しても飽きないです^_^ (2019年8月2日 1時) (レス) id: fa95af4103 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 更新待ってました！ (2019年6月22日 16時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
リリー(プロフ) - 更新していただきありがとうございます！ずっと待ってました！ (2019年3月7日 11時) (レス) id: 203fcc8e94 (このIDを非表示/違反報告)
さやめめ(プロフ) - 私もとてもショックを受けましたが、またこうして更新をしていただき有難いです。とても楽しみにしていました、これからも応援しています。 (2018年12月1日 15時) (レス) id: 0eff97111c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：絹
| 作成日時：2018年4月2日 19時
