内緒で紅一点してます

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近くに行っても無反応なAの横に腰を下ろし
わざとらしくため息をこぼしてみる





『…おい、寝てんのか』


貴「いえ、起きてます」





目の前を通るスタッフさんも心配そうに見てくるし
ここじゃかなり注目を集めてしまう




『とりあえず、楽屋戻んない？』


貴「…ですね」


『まぁさ、お前は1人じゃねーし。無理すんなよ』




よし、言えた。
俺やれば出来るじゃん







貴「あの、連絡先交換しません？？」


『…は？なんでこのタイミング？』


貴「え、いや、楽屋に居る時からタイミング伺ってて…一旦落ち着くために楽屋出たんですけど笑」


『ん？ちょっと待って。落ち込んでるんじゃないの？コメント見て…その、え？』






ファンからのコメントで落ち込んで出ていったんじゃないの？







貴「え？」


『えっ？！ちょっと待って、怖っ！』


貴「あ、確かに見ましたけど、言われるって分かってましたから！気にしてませんよ！」







はぁぁ？！何こいつ。
なんで気にしないの、え、俺がおかしいの？






『え、じゃあ連絡先交換するタイミングを見失ってここで考えてたってこと？』


貴「はい、」


『はい、じゃねーよ！！』








心配して損したわ、と思うと同時に
なんか安心した








『…ほら、行くぞ』


貴「あー、ちょっと引っ張らないでください」


『つか、携帯貸して』


貴「はい」








渡された携帯に自分の連絡先を入れて返した







『ん、』


貴「わぁぁ！嬉しい！！」






たかが連絡先交換しただけなのに飛んで跳ねて喜んでいる






『目黒達と、仲良いじゃん。してないの？』


貴「はい！渡辺さんが一番です！」


『…あっそ、』






俺、こいつの笑顔ダメかもしんない






『…翔太、翔太でいいよ、俺のことは
同じメンバーだし、敬語も要らない』



貴「翔太くん！」






またその笑顔、







『…もう笑わないでくんない？』



貴「えっ！！」



『嘘だよ、』



貴「冗談に聞こえない、笑」









表情をコロコロ変えて
楽しそうに笑ったり、不安そうに目を丸めたり








なにこいつ、めちゃ可愛い

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