005 ページ6
.
真都、と呼ばれたその男の子はこちらに会釈して
階段を上がっていってしまった。
母｢あ、それでね。
契約を変更して、私たちがいない間の
あの子の世話を頼みたいんです。｣
夏｢えっとそれは……｣
母｢私たち一年間、
アメリカで過ごすことにしたの。｣
父｢僕の会社の支社があっちにあるんだけど、
そこで新しいプロジェクトを始めたくてね。
でもほら、真都は大学受験があるから
連れていくわけにはいかないんだよ。｣
夏｢……なるほど。｣
母｢そう。あの子まだ高校生だから
家事とかできないし、私たちも心配でねぇ…｣
ん……？
男子高校生と家でふたりきりってこと？
…………犯罪じゃない？
夏｢分かりました。お引き受けいたします。｣
｢えっ……ちょっ……｣
母｢あら〜よかった！
そう言ってくれると思ったのよ！｣
夏｢担当するのはこちらの佐々木です。｣
父｢おぉ。ずいぶん若いようだけど、大丈夫かい？｣
そう言って彫りの深い顔でこちらをじろりと見るから
自然と背筋がぴんと伸びた。
夏｢彼女は大学生ですが、
しっかり家事のスキルはあります。｣
父｢大学生？｣
母｢大丈夫なの…？｣
確かに、私は夏川さんの前で一通りの家事をテストして
全て合格をもらった。
だけど、わざわざ私がこんなすごいお客さんを
担当する必要あった？
絶対もっとスーパー家政婦みたいな人の方が
よかったんじゃないかと思う。
夏｢大学生 "だから" です。｣
母｢それは…どういう…｣
夏｢以前の契約では、息子さんの家庭教師も
業務の中に入っておりました。
これは契約変更後も変わりませんよね？｣
母｢そうですね。｣
夏｢佐々木は東京大学に在学しています。
そして家事もできる。
ですので、息子さんには適任かと。｣
え、ちょっとまって。
……か、かていきょうし？
夏川さんとの会話の記憶を掘り起こしてみるけど
そんなこと聞いた覚えがない。
男子高校生の家で家事代行をするという事実だけでも
ぶっ飛んでて整理が追いつかないのに
家庭教師までやるなんて。
情報過多で頭がおかしくなりそう。
でも、隣で微笑む夏川さんを見て
私を即採用してわざわざこの家の担当にした理由は
これだったのだと理解できた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4120人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひなの(プロフ) - 優子さん» 応援に応えられるように頑張ります！ (2021年11月11日 18時) (
レス) id: 65ac30d659 (このIDを非表示/違反報告)
優子(プロフ) - ひなのさん» ありがとうございます😊これからもずっと応援させて頂きます！！ (2021年11月10日 22時) (レス) id: 8ab40d1b20 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - 優子さん» コメントありがとうございます！楽しんでもらえていて嬉しいです(^^)深澤さんのお話は他の方にもお褒めのコメントを頂きまして…ホスト深澤人気ですね笑 天才なんて言われると調子に乗ってしまいますが、これからも頑張ります！優子さんも体調にお気をつけください〜 (2021年11月8日 13時) (レス) id: 65ac30d659 (このIDを非表示/違反報告)
ひなの(プロフ) - ななこさん» 初めまして〜コメントありがとうございます！どうなるのでしょうか……！ラウちゃんの親子関係にも注目してみてください(^^) (2021年11月8日 13時) (レス) @page24 id: 65ac30d659 (このIDを非表示/違反報告)
優子(プロフ) - この小説大好きです！！！！ラウちゃんバージョンも大好きだけど私は深澤さんのが1番好きでした！！こんな天才な物語考えられるひなのさんは神ですね！！これからも楽しみに待ってます✌️どうか体調には気をつけて下さい！ (2021年11月7日 22時) (レス) @page25 id: 8ab40d1b20 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひなの
| 作成日時：2021年10月1日 20時
