恋セヨオトメ【黄】 (ページ40)

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だけどやっぱり先輩を
そんなに簡単に超えられるはずもなく。

私と苺花先輩の間にある差は全然縮まらない。

しかも前半に飛ばしすぎたせいで、
足に限界がきていた。

でも少し先で岩本先輩が手を挙げているのが目に入り

最後の力を振り絞って足を動かした。

｢岩本先輩っ！｣

岩｢任せろ。｣

そして、黄色いバトンは
私の手から岩本先輩の手に渡った。

そこからはもう、岩本先輩の独壇場。

走り出してすぐに紫チームの人を抜かし、
そのまま大差をつけてゴール。

岩本先輩が1位になったときは
今日一番の歓声だった。

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『これで体育祭を閉会します。』

こうして、共学になって初めての体育祭は

岩本先輩率いる黄色が優勝して幕を閉じた。

ラ｢やっぱすごいよね〜、岩本くん。｣

｢……うん。｣

ラ｢あれ！もしかして、ヤキモチ焼いてる？｣

｢……うるさいっ｣

閉会式が終わり、クラスで集まって帰りのHRを簡単に済ませてから自然解散となった。

時間が押していたようで、
リレーが終わった後はすぐに閉会式が行われた。

だから1位を一緒に喜ぶ時間なんてなくて
少し寂しかった。

しかも、いつの間にか岩本先輩は
ディズニーランドのミッキーのように
超人気者になっていて

写真を撮りたい女の子の列ができていた。

『照先輩！めっちゃかっこよかったです〜！』

岩｢ありがとう。｣

少し困ったような顔をしながら岩本先輩は
たくさんの女の子たちとツーショットを撮っている。

私は列に並ぶこともせず

ただ、その様子を見ていることしかできなかった。

本当は、私だって写真を撮りたいし

さっきのリレーすごかったですって言いたい。

勇気って、なんでこういう時に出ないんだろう。