恋セヨオトメ【黄】 (ページ33)

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岩本先輩はこちらを見て私に気づき、
不思議そうな顔をしながらやってきた。

徐々に高鳴っていく私の胸。

岩｢どした？｣

｢え、あっ…えーっと、これ！
今日の朝練で忘れていったみたいです！｣

岩｢おお、悪いな。ありがと。｣

ボトルを差し出すと、
岩本先輩の指先が私の手に触れた。

なにかの化学反応みたいに体温が上昇する。

｢……っ！！！
はい！それだけです！おじゃましましたーー！｣

岩｢あ、おう。また部活で。｣

私は3年生のフロアの廊下を全力疾走した。

不審な目で見られたけど、
そんなの今はどうでもいい。

とにかくこの場を去りたかった。

｢ただいまっ！！！！｣

ラ｢わぁ…Aちゃん顔真っ赤…｣

｢はぁ…はぁ…えっ！？なに！？｣

ラ｢なんでもなーい。あ、忘れ物、渡せたの？｣

｢あぁ…うん。｣

ラ｢よかったじゃん！｣

自分の教室に着いたのに
身体は全然元に戻ってくれない。

心臓はバクバクいってるし、顔は熱い。

あぁもう…なんなんだよ…！

今日の朝まではこんなことなかった。

きっと苺花先輩に彼氏がいると知ったからだと思う。

ちゃんと、｢付き合いたい｣と
思ってしまったからだと思う。

ラ｢Aちゃんって思ったよりもピュアなんだね？｣

｢うるさいな…｣

ラ｢恋してるAちゃん可愛い〜！！！｣

｢ねぇラウ！！｣

ラ｢やっぱふたりには付き合ってほしいなぁ！｣

中学の時は、陸上のことしか考えてなくて
付き合うことには興味なかった。

仲のいい友達に彼氏がいても
別に欲しいとか思わなくて

好きな人ができた時も
それ以上の関係なんて求めなかった。

どうせ叶わない恋だったし。

でも今回は？

今までとはちょっぴり違う。

私は岩本先輩の彼女になりたい。