028 ページ29
.
この前みたいにベンチに座って少し休憩。
さわさわと吹く風が肌をかすめる。
岩｢どう？走るの楽しい？｣
｢はい！おかげさまで！｣
岩｢よかったじゃん。
県大会まで1ヶ月あるから
それまでに自己ベスト出せるといいな。｣
｢なんか出せそうな気がします。｣
岩｢おぉ、楽しみにしてるわ。｣
岩本先輩は私の方を見て頷いた。
これもまた、私の原動力になる。
誰かを好きになるってすごいこと。
岩｢俺も頑張んねーとな。
大学の推薦の選考もそろそろ入ってくるし。｣
｢行きたいところとかあるんですか？｣
岩｢ん、一応は。｣
｢岩本先輩ならどこでも行けそうですけどね？｣
岩｢そーでもねーぞ？
今どんだけできるかじゃなくて、
将来有望かどうかだから。｣
｢そうなんですね…｣
岩｢吉田は？大学でも続けんの？｣
｢いや…まだ決まってないです。｣
岩｢まぁまだ2年だしな。｣
そっか。
岩本先輩はあと何ヶ月かしたら引退してしまうんだ。
当たり前のことなのに忘れてた。
ずっと一緒に部活ができるような気がしてた。
岩｢よし、もっかい走るか。｣
｢はい！｣
岩｢ちょっとペース上げてくぞ。｣
別に付き合いたいとか思ってなかった。
好きだけど、
一緒に走ったり話したりできれば
それ以上は望んでいなかった。
岩本先輩の笑顔を見ているだけで、
それでよかった。
でも、なんだろう。このモヤモヤ。
私の少し前を走る岩本先輩の背中を見ていたら
急に寂しくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1110人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ひなの
| 作成日時：2021年7月22日 21時
