恋セヨオトメ【黄】 (ページ28)

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｢走ってくるー！｣

母｢はーい。気をつけなさいね〜｣

別に面白いことがあったわけでもないのに
口角が自然と上がってしまう。

集合時間には余裕を持って家を出たはずなのに
なぜか走ってしまう。

あれもこれも全部、今から岩本先輩に会えるから。

好きだと自覚すると
もっとその人のことを好きになってしまうのは

当然のことだよね。

｢岩本先輩！｣

岩｢おぉ、お前ここまでも走ってきたのかよ(笑)｣

｢えっ、すいません。｣

岩｢なんで謝んの(笑)｣

当然、集合の時間よりも前に着いたのに
もうそこには岩本先輩がいて

先輩は、走って少し息の切れている私を見て笑った。

例のごとく心臓あたりがぎゅん、となる。

岩｢行くか。｣

｢あれ、苺花先輩は？｣

岩｢あ、呼んでねーけど…
呼んだ方が良かったか。わりぃ。｣

｢えっあっ！！！！全然！！！
はい、行きましょう！！｣

勝手に3人だと思っていたから
予想外のこの状況にプチパニック。

だって、ふたりっきりだよ？？

岩｢いつものコースでいいよな。｣

｢はいっ！｣

最初に走った時もふたりきりだったけど、
あの時とは何かが違う。

隣に立つだけで、少し肩が触れるだけで

名前を呼ばれるだけで、

ドキドキしてしまうし、いちいち動揺してしまう。

走ることに集中できない。

岩｢なんか顔赤いぞ。疲れた？休む？｣

違いますよ。

あなたのせいです。岩本先輩。