恋セヨオトメ【黄】 (ページ12)

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中学の時の話とか、
好きな陸上選手の話とかをした。

気づけば三ツ矢サイダーは
半分くらいまでなくなっていて

意外と時間が経っていたんだなぁって少し驚いた。

岩｢リレー、やりたくない？｣

｢えっ…｣

岩｢いいよ、正直に言ってみ？｣

突然リレーの話をされて戸惑った。

頑張ると決めたはずなのに、
どうして否定の言葉がすぐに出てこないんだろうか。

｢やりたくない……わけではないです。
でも……｣

岩｢でも？｣

｢怖いっていうか…不安っていうか…
私でいいのかなって思います。｣

岩｢そうだよなー。怖いよなー。｣

大丈夫だよ、頑張れ、とか
励ましの言葉を予想していた。

共感してくれるなんて思いもよらなかった。

岩本先輩が、怖い、だなんて。

岩｢俺もさ、1年の時吉田と同じように
3年に混じってリレーに選ばれたんだよ。｣

｢そうだったんですか…｣

岩｢めちゃくちゃ怖くて。
俺なんかが走ったら負けんじゃねーかって
ずっと思ってた。｣

思い出すようにぽつりぽつりと話す岩本先輩は

どこか苦しそうで、泣きそうで。

岩｢結局当日までそうやって思ってたから
俺のバトンミスで負けた。

最後の最後で自信のなさが出たんだよ。｣

｢知らなかったです…｣

岩｢吉田には俺みたいになってほしくないんだわ。

あの中で選手に選ばれたことに
自信をもってほしい。｣

｢自信……｣

私はいつも、自分に自信がないのが
よく分かると言われる。

だけど、そんなこと何回も言われたって
全然変われない。

むしろもっと自信をなくすだけだ。

岩｢まぁそんなこと言われても急には無理だよな。｣

｢……｣

岩｢じゃあさ、一緒に練習しようか。｣

｢練習…？｣

岩｢ほら、苺花も家近いし。3人でやろうよ。｣

｢いいんですか…！？｣

岩本先輩はどうしてこんなに

私に目をかけてくれるんだろう。