恋セヨオトメ【黄】 (ページ11)

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岩本先輩は別に飛ばしていたわけではなくて
あのスピードが普通。

なのに岩本先輩は私に合わせて走ってくれた。

岩｢吉田は中学は公立？｣

｢そうです！｣

岩｢その時からやってたの？100m。｣

｢最初はハードルだったんですけど……｣

なんか、夢みたい。

でもすぐ近くで聞こえる岩本先輩の息遣いが
これは現実だよ、と教えてくれる。

あまりにもこの時間が幸せすぎて
疲れなんて感じるひまがなかった。

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｢あっ、この辺で折り返します！｣

岩｢あぁ…ちょっと休憩する？｣

｢えっ…はいっ！｣

普段は休憩なんてしないけど、
今日は岩本先輩にお話を聞けるチャンス。

私たちは近くのベンチに並んで座った。

岩｢飲み物でも飲む？｣

｢あ…でも今お金もってなくて。｣

岩｢奢るよ。｣

｢いやいやいやいや！！！！それは大丈夫です！｣

岩｢いいよ飲み物くらい。三ツ矢サイダーでいい？｣

｢あっ、は、はい…｣

岩本先輩はすぐそばにある自販機で
三ツ矢サイダーを2つ買って、私に渡した。

冷えたペットボトルは高くなった手のひらの体温を
あっという間に下げた。

｢すみません、ありがとうございます。｣

岩｢なんで謝んだよ。(笑)
俺が飲みたかったんだからいいだろ？｣

｢でも…｣

岩｢少しくらい先輩ヅラ
させてくれてもよくない？(笑)｣

そう言って岩本先輩は笑った。

困ったように眉毛を下げて、

なくなるんじゃないかっていうくらい目を細めて。

少しドキっとした。

ただ単に岩本先輩の笑顔が好きだったからか

相変わらず壮大なギャップに萌えたからか

よく分からない。

ただ、この笑顔をずっと見ていたいと思った。