secret touch.１ ページ4
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「っあ、りょうた、ちょっ、待って！」
「待たないよ」
焦るしょうたに、
明確な意思を伝える。
いつも目線を彷徨わせて、
グループの仕事のときは
目が合っても、ほんの数秒。
俺を制止させようと、
ようやく視線が交わる。
しょうたはすぐにまた視線をそらして、
でも体の強張りが、ふっと緩んだ。
俺の目を見て、多分伝わったんだろう。
もう待たない。
決めたから。
っていう、俺の決意。
しょうたは知ってるからね、
俺の頑固さ。
一度決めたことはやり遂げる。
…融通がきかないとも言えるかな。
抵抗してもムダだって気づいたはず。
そのあたり、しょうたはカンがいい。
それとも、これが幼馴染たる所以なのだろうか。
「無理強いするつもりはないよ」
その言葉に、しょうたが眉を顰めて
訝しげな視線を向ける。
うそつけ、そう言いたそうな顔して。
ほんと、顔に全部出るよね。
「だって、好きだよね？しょうた、俺のこと」
目が見開かれたかと思えば
しょうたはまた、顔を背けた。
「なに、それ。自信ありすぎだろ…」
「だってそうでしょ。
わかるよ、しょうたのことは。
いつから一緒にいると思ってるの？
しょうただって、そうでしょ？」
生まれた病院から一緒。
いわゆる幼なじみ。
一度は学校が別々になって離れたけど、
また道が交わった。
そして今は一緒に仕事をしてる。
同じ事務所なだけでなく、同じグループで。
一般社会でも、あまりないシチュエーションなんじゃないかな。
積み上げてきた時間が、違うんだよ。
わかるよ。
だから、わかるでしょ？
「でも、涼太が考えてるそれと、
俺の考えてるの、同じかどうかなんて…」
はっきりしない口調。
まだ逃げ道を探そうとしてる。
でもね、せっかく機会が巡ってきたんだから。
逃げ道なんて作らせない。
「同じじゃないと、いけない？」
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作者名：ほたて | 作成日時：2023年1月4日 20時
