never ending story.4 ページ19
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お互い料理を口に運んでいると、
「色々あったよなぁ、ここまで」
ハイボールをひと口煽り、
しょうたがつぶやいた。
「そうだね」
あと数日で、デビュー日。
そのことで、今までを思い返しているのだろう。
「数字だと長いなって思うし、
それこそ色々あったんだけど…
体感、早かったなぁー…」
「まあ、俺らは、下積みがそもそも長かったからね」
入所してから、18年。
初めてユニットを組んでから、13年。
今の名前をもらい改めて結成してから、10年。
「デビュー出来んのかなとか、
やめた方がいいのかとか、悩んでたのが
何か遠いことみたく感じるわ」
「あの頃、よく６人で話し合ったりしてたね」
「してたしてた。２人でも話してたよな。
俺が涼太に相談っていうか、
泣き言聞いてもらってたっていうか」
「あったね…」
先が見えない状況で、
後輩が先にデビューしていく中で、
諦めなかったのは、大事な仲間がいたから。
「6人誰ひとり、欠けたくなかったからね」
俺が願っていたのは、
６人が誰ひとり欠けることなく、
デビューすること。
そして、それは同時に
幼なじみである彼とともに
デビューをするということ。
「デビューするなら、しょうたと一緒って
決めてたから。決めてたというか、
それが必然だって、信じてた」
他の４人と優劣をつけるわけではないけれど、
病院の生まれが一緒のしょうたと
ともに夢を叶えていくことに
特別な意味を感じていた。
６人それぞれの思いや願いをのせて、
ひとりひとりが模索し、あがいていたあの頃。
俺にとっては、しょうたと叶える夢と未来を
守るための時間と努力だった。
そしてようやく掴んだ夢。
その物語が、今も続いている。
そしてこれからも続いていく。
「俺も。涼太がいたから」
ありがとね、と小さく呟き
ごまかすようにしょうたがグラスをかたむけ
一気に飲み干した。
「おかわりする？」
「ん、ちょーだい」
残り少ない自分のグラスも飲み干して、
2人分のハイボールを作り直す。
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作者名：ほたて | 作成日時：2023年1月4日 20時
