#1 Girl (ページ36)

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リリイベリハーサルの日々。
やっぱり、歌うのって楽しい。
メインは映画挿入歌の新曲だけど、もしかしたら初めて来て下さる方もいるかも知れないし
ずっと応援して下さる方も来てくれるだろうから、新旧の曲を組んでミニライブにした。

バンドとリハーサルも重ねたし、ボイトレでも個人的にレッスンを積んだ。

「生き生きしてますね」

『超楽しい』

「私達も、です。ファンも喜びますね」

『だと、良いけど』

SNSで、リリイベ当落がトレンド入りしたって聞いた。
有り難いことに倍率が凄かったとスタッフに聞いて、嬉しいけど来られる人が限られてしまうことが寂しい。

「白石さん、ちょっとひとつオファーがありまして」

『…今？』

「リリイベに集中したいのは分かっているのですが、いいお知らせです。タイアップです」

『…タイアップ』

「はい。デビュー曲が…ドラマに使われます」

デビュー曲。
インディーズの頃からずっとずっと、大切にしてきた曲。
ライブでも大切に歌って来て、ファンの方の間でも人気のある曲。

…蕾が開いた。
そう思ったら、目の前が霞む。

「私達も…嬉しいです」

『ありがとう』

スタッフからの拍手と、マネージャーのもらい泣き。
最高のチーム。

こんな嬉しいこと、ない。

「早速なんですが、そのタイアップでまた音楽番組の生放送がありますので」

『うん』

日付けを跨ぐ前に、自宅に着いた。
このところスケジュールをぎゅうぎゅう詰めにして来たから、疲れてないと言えば嘘になる。

でも、どうしても。
報告したい人がいた。

…せっかくならメッセージじゃなくて、声が聴きたいと思ったけど繋がらなくて。
まだ、仕事かな。

玉森裕太ごめん、今終わって帰るとこ。起きてる?

お疲れ様。また電話する、おやすみ

玉ちゃんも、忙しいのは分かってるから。
無理に電話するのは申し訳ないと思って、ゆっくりお風呂に入ることにした。