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「お邪魔します。」
阿部「はい、どうぞ。」
扉を開けると、部屋中に懐かしい亮平の香りが広がっている。
それはとても私を安心させてくれる世界で一番心地良い香り。
「あ、これ……」
壁に掛かっている、いくつもの見覚えのある絵。
下手っぴなそれは、かつての私が描いたもの。
「絵に対して、額縁が立派すぎない……？」
思ったことがつい口からこぼれる。
阿部「そんなことないよ。これは、俺の宝物だから。」
当たり前みたいにそう言ってのけた亮平の顔を思わず振り返ると、穏やかに笑っている。
なんだか、昨日の泣き虫な亮平とは別人みたい……。
今日はずっとニコニコしてて嬉しそうで。
「大事にしてくれて、ありがとう……？」
阿部「どういたしまして。」
照れくさくて疑問形で応えた私に、亮平は満足そうに笑う。
なんだか照れくさくて、私は亮平から視線をそらした。
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阿部「それじゃあ、Aは亡くなった翌日に転生したってこと？」
「うん。多分。記憶だけは全部残って、私の誕生日は前世の翌日だったから、そういうことだと思う。」
阿部「なるほど。……記憶を持ったままもう1度人生を生きるなんて、辛かったね。」
「……うん。でもね、渡辺家のみんなが優しかったからしあわせだったよ。」
阿部「うん。そっか。」
亮平は優しく笑う。
相変わらず、優しいなぁ。
「生まれ変わったら、全然違う見た目でね？それが最初は慣れなかったなぁ」
阿部「うんうん。」
「赤ちゃんの頃はさすがに言葉も話せなくて、お腹空いたーとか伝えられなくて困ったり、」
阿部「へえ、そうなんだね。」
「それに今はね、日に焼けるとすぐ赤くなるの！白い肌の人ってそうなんだって初めて知ったよ！」
阿部「ふふ。Aは肌が焼けやすかったもんね。」
「絵とか勉強とかは体が覚えてたから、何となく、続けてて……」
阿部「うん。」
「……ううん、ほんとは違うのかも。何となくじゃなくて、たくさん変わったけど、変わらないこともあるって……私が私であることを残したくて、続けてたの、かも。」
阿部「……うん。そっか。」
どんな話も、亮平は飽きもせずニコニコして、昔と変わらない優しい笑顔で聞いてくれる。
それは遠い昔の二人みたいで、油断すると涙が出そうだった。
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たぬ(プロフ) - 朝桐さん» 最後まで読んで頂けただけでも嬉しいのに、宝石みたいにキラキラした素敵な感想をありがとうございます。頂いた言葉全てが宝物です。こちらこそ出逢ってくださりありがとうございました。 (3月21日 23時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
朝桐(プロフ) - 素敵な作品をありがとうございました！涙なしでは見れなくて、とても生きててよかったと、見れてよかったと。運命といいますか奇跡にただ救われました。執筆活動お疲れ様です。今後のたぬ様の日々が愛に溢れますように。本当にありがとうございました！ (3月18日 22時) (レス) @page43 id: db8064d0f2 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - みみみさん» お読み頂き、素敵な感想までありがとうございます。楽しんで頂けたのなら本当にすごく嬉しいです！こちらこそ、ありがとうございました！ (9月6日 23時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
みみみ - 今日初めて見つけたこの作品、１話から今まで全部いっきに読みました☆本当に素敵な作品でした😊ありがとうございました！！ (9月2日 17時) (レス) @page43 id: 10d256d720 (このIDを非表示/違反報告)
たぬ(プロフ) - 桜色さん» とっても優しくて愛のある感想を送ってくださってありがとうございます。どの言葉もとても勿体ないくらいですごく嬉しいです。最後まで読んで下さってこんな素敵な感想まで下さって、こちらこそありがとうございます！ (6月5日 22時) (レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2022年8月24日 22時
