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阿部「そ、っか……急にごめんね。あっ、物理の授業はどうだった……？」
「え……？あ、とてもわかりやすかった、です……」
ぎこちない会話。
……もし、今ここで、"私は椎名Aなんだよ"なんて言ったら彼は信じるんだろうか、それとも、もっと困らせてしまうのだろうか……。
現実主義な亮平のことだ、きっと信じてはくれないだろう。
気味の悪い、悪質なイタズラだと思うかもしれない。
……でも、もしかしたら、ちょっとだけでも、前世の私を思い出してくれるかも。
そんなの私のエゴでしかなくて、ダメだって昨夜思ったばかりなのに、目の前に亮平がいると、そんな気持ちがフツフツと湧き上がってきてしまう。
……これ以上、ここにいてはダメだ。
亮平にしあわせになってほしいのに、私が前世のことを自分から言うなんて、ダメだ。
忘れられているくらいが丁度いいんだ。
幼馴染に、椎名Aに、縛られていてほしくなんてない。
「……先生、腕、痛いです…」
本当は、全然痛くなんてない。
だけど、ここから離れるには手を離してもらうしかなくて。
生まれ変わった私に亮平が触れてる、なんて、奇跡でしかない。そんなの昨日までの私が聞いたら、有り得ないって笑うような夢みたいな話だ。
そんな奇跡を振り払ってでも、私はここから立ち去らなければならないと思った。
私の声を聞いて、亮平はゆっくりとその手を離した。
……あっさり離された腕を、名残惜しいと思うなんて。
手を離す時、亮平が少し悲しそうな顔をしたような気がして、それを嬉しいと思うなんて。
私は、なんて、自分勝手なんだろう。
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たぬ(プロフ) - るる様 ご指摘ありがとうございます！気付いておりませんでした、、外させて頂きました。教えて頂いてありがとうございます！ (2021年10月18日 20時) (
レス) id: dc32266bd7 (このIDを非表示/違反報告)
るる - オリ フラﾀﾄした方がいいかもです(><) (2021年10月18日 17時) (レス) id: 0fbeefd96e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：たぬ | 作成日時：2021年10月17日 11時
