スノードロップ【Ren,Sho】

19.コンプレックス-ren- ページ19

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神「あーあ。紫耀はいーよなぁ。」


メイク室で、椅子に寄っ掛かりながら
ジンがそう呟く。




岸「俺らも頑張んないとな。」


その様子を見た岸君が
読みかけていた雑誌をたたんで立ち上がり
ジンの頭をパコンと叩いた。




神「岸君はいーじゃん。演技上手いし
きっとまたドラマの仕事来るよ。
でも俺はなぁー。」


海「ジンだってドラマ出たことあるじゃん。
俺なんか出たことすらないよ。」


床であぐらをかいてジュースを飲んでいた海人が
上目遣いでジンを見上げる。




神「海人はまだ歴短いからこれからだろ。
伸びしろあって羨ましーぜ。」


岸「おまえだってまだまだこれからだろ。
辛気臭いこと言うな。」


こんな会話をしていると
なんだか自分も足踏みをしているようで
焦燥感にも似た感情に駆られる。


………俺には、一体何があるんだろう。




神「廉は見てくれがいーから
モデルの仕事とか来そうじゃね？」


急に話を振られて、思わずピクッと反応する。




海「廉、スタイルいーしね。」


岸「確かに、廉は
そのビジュアル活かした方がいいよな。」


海人と岸君が次々に乗っかって
思わずタジタジになる。


………モデルを職業にしてる人には
ホンマに失礼かもしれへんけど
“歌”や“演技”の才能が足りないから
ビジュアルを推されてるようで
なんだか複雑な気持ちになった。




紫「廉は“ビジュアルコンプレックス”やからな。」


いつの間にか来ていたのか
入り口にもたれかかる紫耀が
こちらを見下ろしていた。




廉「…………紫耀。」


神「え？何々？ビジュアルコンプレックス？
何それ嫌味？」


紫「人間、色々あんねん。」


そう言って、紫耀は
颯爽と部屋の中へ入ってきた。


………こいつは無意識なのか
人のコンプレックスを、わざと
刺激するような所がある。


しかも、他の奴らにはわからないように。




神「そーいやさ、岸君
こないだ舞美ちゃんに会ったよ。」


ジンのその一言に、一瞬
その場の空気が凍りついたのがわかった。


人のコンプレックスをわざわざ刺激するのは
ジンも同じだ。




岸「………へぇ、元気だった？あいつ。」


神「うん、全然変わんなかった。
相変わらず、岸君みたいな説教してくるし。」


海「岸君の友達ー？」


何も知らない海人が無邪気に話しかけて
岸君がぶっきらぼうに
「高校の同級生」とだけ答えて
その場を出て行った。




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