47ー1 星合い【亜風炉照美】 ページ12
織姫はとっても、機織りが上手な働き者だった。
彦星もまた、織姫と同様に働き者だったそう。
しかし、
そんな二人が夫婦になると一変、夫婦生活の楽しさ故にお互いの仕事が疎かになった。
それに憤った織姫の父、天帝は、
二人の間に天の川を隔てて引き離した。
そんな二人が会えるのを許されたのはは年に1回、7月7日だけだったみたい。
「……ていう伝説があったみたいだよ」
「…へえ」
机を挟んで向かいに座る照美は、
「そんな深い話があったんだね」と感心したようにこちらに目を向けたと思ったら、また手元へと視線を落とした。
随分集中してるな…
―――お願いごと。
彼は、なにを書いているのだろう。
今日は7月6日。
明日は七夕だ。
今朝、私たちは監督に短冊を手渡された。
それぞれお願いごとを綴って提出してほしいそう。
少しだけ斜めに切られた歪な形の短冊を手に取り、考えてみる。
イナズマジャパンが優勝しますように。
豪炎寺くんの足が早く良くなりますように。
もっともっと選手の皆の役に立てますように。
…照美と、もっともっと仲良くなれますように。
…っていや、やだ、何考えてるの私。
ふと思い浮かんだヨコシマじみた願いごとが私の羞恥を仰る。
「Aは、何にした?」
「え…っ!?」
こんがらがる思考の中、
短冊と見つめあっていると、照美から視線を送られていることに気づく。
「う、ううん…お願い事が多くて、悩んでる…」
「はは、随分欲張りなんだね、A」
君のそういう所、好きだよ」
「…すっ…!?」
自然と言葉に出た"好き"の単語に、突然斜め上から殴られたかのような感覚に陥る。
ちょっと、もう…心臓が痛いって。
うっ、と思わず胸を抑える。
恥ずかしげもなく好きだなんて容易く言ってのけてしまう彼には本当に頭が上がらない。
「…そういう照美は、もう書き終わったみたいだね」
彼は書き終わった短冊を手に取ってはこちらに視線を送って、にこりと微笑んだ。
「ああ、もっとAと仲良くなれたらなって書いた」
「えっ……!」
この人は一体何度私の心臓をえぐったら気が済むんだ。
ばくんばくんと、体の奥の真ん中が大きく揺れているのがよく分かる。
「う、うそつき…」
「本当だよ」
ははっ、と爽やかに笑うと、
見る?と差し出してくれた彼の短冊には
確かに端正な字で「Aともっと仲良くなれますように」という文字が綴られていた。
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櫻田海桜 - また、更新再開してほしいです。 (2023年4月10日 14時) (レス) @page19 id: 00142467d6 (このIDを非表示/違反報告)
風神ノ舞(プロフ) - お久しぶりです。って言っても覚えてなくて当然ですが、恋ふぶきで神童君をリクした元風丸渚です。リク大丈夫でしょうか?天馬君や竹見君の後で構いませんが、雪村君お願いできますでしょうか? (2019年5月1日 17時) (レス) id: 02f1e78801 (このIDを非表示/違反報告)
みんと(プロフ) - 名前変更したのですが、すいです。お返事ありがとうございます!メインキャラでは無いのですが、竹見幸助くんなどは大丈夫でしょうか?難しいようでしたら断っていただいても構いません...! (2019年5月1日 9時) (レス) id: 2701b73a88 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すいさん» いつも読んで頂きありがとうございます!!はい!リクエスト承っておりますよーっ! (2019年5月1日 7時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
すい(プロフ) - はじめまして、彼方さんの小説いつも楽しみにしております。突然ですみませんが、リクエストなどは大丈夫でしょうか? (2019年5月1日 5時) (レス) id: 2701b73a88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:彼方 | 作成日時:2019年4月30日 14時