12ｰ1 プラトニックラブ【野坂悠馬】 ページ26
野坂悠馬を好きになった。
恋愛というものは実に貪欲なもので、好きだと自覚した瞬間、彼からの"好き"が切実に欲しくなってしまった。
そして、幸せになりたいって思った。
だから彼に思い切って告白した。
返事は「いいよ」と、普段と変わらない笑みと淡々とした言葉が返ってきた。
そんな悠馬くんの様子に拍子抜けしてしまった。
てっきり断られるとばかり思っていたし、
何より私なんかでいいの？という思いが右往左往する。
でも、何かを得たような満足感というものを感じなくて、むしろ何か足りないだなんて感覚が身体中を駆け巡ってはむず痒い感覚に陥る。
「そっか…！」
私は、悠馬くんからの"好き"を貰った試しがないのか。
「どうしたの、Aちゃん。そんなに考え込んで」
「あっ、吹雪さんおはようございますっ！早いんですね」
名前を呼ばれて振り返れば、大きく伸びをする吹雪さんがいた。
「そちらこそ。マネージャーの朝は早いんだね。お勤めご苦労さま」
「ありがとうございます！今、ヨネさんが来るのを待っているところなんです」
「じゃあ、それまで僕が話し相手になろうか？」
ずい、と吹雪さんの端正な顔が近づかれて、
その王子様のような微笑みに、ドクドクと心拍数を上げる心臓を抑えながら、はいと冷静を保って返事をした。
「それで？そんなに考え込んでどうしたの？」
「ええっと、」
…言うべきなのかな。
悠馬くんとの関係に晴れて恋人という名前がついたのに、未だに悠馬くんからの"好き"を貰えていないこと。
雪原のプリンスとまで呼ばれる彼にとっては、異性から"好き"という言葉をもらうことなんて容易いことなんだろうなあ。
「悠馬くんから、好きって言ってほしくて、どうやったらもらえるかって思って…」
「…Aちゃん」
「は、はい！」
「僕のこと、好き？」
「はい！もちろん、好きです！ええと、先輩として、ね！」
「ふふ、知ってるよ。それでいいんだよ」
へ？と間抜けた声が出る。
「今Aちゃん、僕のこと好きだって言えたでしょ？僕と同じことを野坂くんにやってみたらいいんじゃないかな」
口があんぐりと開いて、そこから「あ…」と声が漏れる。
▽3/8 作者より
1000hitありがとうございます！
他にもお気に入り登録やコメント、高評価ありがとうございます(；＿；)
1週間もしないのにこんな小説にたくさん目を通していただけてとっても嬉しいです！
これからもよろしくお願いします！
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Setsuki.(プロフ) - 風丸の話の時に彗星ガールズの歌詞の一部があって感動しました！← (2019年3月28日 21時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - 彼方さん» 有難うございます(感涙)！ (2019年3月17日 10時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - Zeroさん» リクエストありがとうございます！話数の関係でもしかしたら次の小説に移動しちゃいますがまたその都度更新させていただきますね(*´`) (2019年3月16日 19時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - リクエストお願いします!!難しいと思いますけど､不動さんって書けますか?無理だったら全然良いです!! (2019年3月16日 15時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - 妄想乙娘さん» 全て読んでいただけたんですね！(；＿；)とても嬉しいです！これからも頑張ります！ありがとうございます(〃´-`〃) (2019年3月12日 21時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年3月4日 8時
