07ｰ2 ページ15
「A」
「は、はい」
大好きな声が、頭上から降ってくる。
目と鼻の先には、凌兵の整った顔があって、普段隠れている右目もこの時ははっきり見えてて、いつもと違う凌兵の表情が見られて私は少しばかり緊張してしまう。
ドキドキと、けたたましい心臓の音。気づかれていないかな。
顔に触れる凌兵の髪にくすぐったさを覚えて、私は顔を背けた。
「なんで目逸らすんだよ」
「んと、いやそういう意味じゃなくてね」
「...俺だけ、俺だけが寂しかったのか？」
もう一度凌兵と目を合わせた時には、彼は少し顔を歪ませて苦しそうに私のことを見つめていた。
あ、もうすぐ起床時間だったっけ。
朝食作るお手伝いしなきゃ。
そういえばここ、吉良くんもいるじゃん。こんな所に私がいる姿を見られたら...
緊張を紛らわせたくて無理やり別のことを考えようとしたのに、ますます悪化した。
両手はがっしりとホールドされてて身動きが取れない。
ギシ、とベッドが音を立てて、重りが加わって、
一瞬、私の背面がずしりと沈んだ。
凌兵が、ベッドに...私の上に乗っかってきた、らしい。
「んっ」
瞬間、唇に柔らかい感触。
その感触は止むことなく、凌兵は角度を変えて、何度も何度もキスを落としていく。
「りょ、へ.....」
「黙って身体預けてろ」
声出すなよと、手で口を塞がれて、また、自身の口で口を塞いで、私が息をする間もなく、何度も何度も口付けをされる。
今にも酸欠を来たして、どうにかなりそうだ。
すう、すう、と規則正しい寝息が奥から聞こえる。
吉良くんはまさかルームメイトとその彼女が今こんな状況になっているとは思ってないだろう、気づかずに眠っているようだ。
....よかった、じゃなくて！
「待って、人、いるのに！」
扉だってオートロックだとかそんな豪華オプションついてないから、いつ誰が訪れてきてもおかしくない。
「声出さなきゃいい話じゃねえか」
彼は淡々とそう言ってのけて、しれっと続きに入ろうとする。
「...凌兵」
「何だよ」
「私も、ずっと寂しかったよ」
私が呼んだことで、ぴたっと事を行うのをやめた彼の身体に、ぎゅ、っと。
背中に手を回して、甘えてみた。
凌兵もそれに応えるかのように、黙って受け入れてくれた。
「A、好きだ」
「...私も」
「悪い、こんなに取り乱して。俺らしくねえ」
まあ、こんな刺激的な朝も悪くないか。
私達はお互い目を合わせて、笑いあった。
08ｰ1 皇帝の恋煩い【野坂悠馬】→←07ｰ1 デビルくんに呼び出されました【灰崎凌兵】
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Setsuki.(プロフ) - 風丸の話の時に彗星ガールズの歌詞の一部があって感動しました！← (2019年3月28日 21時) (
レス) id: 77812d9344 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - 彼方さん» 有難うございます(感涙)！ (2019年3月17日 10時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - Zeroさん» リクエストありがとうございます！話数の関係でもしかしたら次の小説に移動しちゃいますがまたその都度更新させていただきますね(*´`) (2019年3月16日 19時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
Zero - リクエストお願いします!!難しいと思いますけど､不動さんって書けますか?無理だったら全然良いです!! (2019年3月16日 15時) (レス) id: fec557507a (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - 妄想乙娘さん» 全て読んでいただけたんですね！(；＿；)とても嬉しいです！これからも頑張ります！ありがとうございます(〃´-`〃) (2019年3月12日 21時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：彼方 | 作成日時：2019年3月4日 8時
