美しくなりたい全ての女の子へ 【ツイステ】

第24話 ページ26

ジェイドside


フロイドに手を振って別れを告げ、自分のクラスに向かった。


しかし何やら今日は騒がしい。



「……はて、何でしょう…。」



何故かどの学年、クラスの人もこの2年生の廊下に集まっていた。

中でも人集りが出来ているあの一角。




不思議に思ってそのまま廊下を進み近づいてみる。


ある男子はやばい、やばいとまくし立て

またある男子は顔を赤く染めたまま動かない。


三種三様な生徒たちの視線の先を追うと、そこには可愛らしくて美人な女子生徒が居た。


その女子生徒はこっちを見たかと思うと

スタスタと手を振って近づいてくる。




『ジェイド君、おはよう！』



にっこりと笑みを浮かべ、ゆるく巻かれたボブの髪がフワリと揺れる。



「……え？」




今聞こえた言葉を脳内で反芻する。


この子は確かに"ジェイド君"と呼んだ。


聞き覚えのあるその声。

でも見た目が全く一致しない。

脳内は大混乱だった。





「えっと……もしかして……」



『えへへ、ちょっとイメチェン……みたいな。』




糸が繋がった。




「ま、まさか……本当にAさんですか！？」



((ざわっ))



自分が大声で言ったせいで、周りからどよめきが起こる。




『ちょっ、声大きいよ！！』



「す、すみません、驚いて……」




周りの視線から逃げるようにAさんと人集りをくぐり抜ける。


少し離れた人気のないところまで来た。




『ご、ごめんね、一緒に連れてきちゃって…。あんまり視線を感じるから心地悪くて…。』


「(それは無理もないでしょう…。)」




Aさんは改めて向き直った。

その瞳の綺麗さに、緊張すらおぼえる。





「い、一体何があったんですか。」


『ホントにただのイメチェンだよ…、ど、どうかな…変じゃない…？』



「変じゃないです。まさかこんな垢抜けるとは…」


『！、ありがとう…！』




Aさんはぎこちないお礼をした。

本人もどうやらその新しい姿に慣れていないらしい。





『うう…そわそわする…。早く教室に行こ。』


「貴方本当に宝の持ち腐れだったんですね…。」


『え？』


「その…、すごく綺麗ですよ。」




その言葉に彼女は頬を赤らめた。




『ふふ、照れるね。』



「っ…」




ドクンと心臓が跳ねた。


つられるように顔にじわじわと熱が集まる。




三つ編みのおさげも、メガネももう無い。



まさか君に、



こんなに心を乱される日が来るとは思っていなかった。

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