阿部side ページ48
…驚いた。
自分の手の中には、1冊のノート。このノートは、情報の宝庫だ。
楠さんが、俺が知らない知識を沢山もっているのにも驚いたけど、それは栄養士資格を所持していると知った今では納得している。生物学や医学、生理学は栄養士の必須分野だから。
だけど、このノートは違う。
このノートに書かれていることはいわば雑学。雑学という物は普通の学校では学ばない専門的な知識。それを学ぶ人間以外は手に入れることができない知識。
興味をもって、調べようとしないと手に入らない知識。
そして、そもそも世の中には、疑問に思う人は多いけど、知ろうとする人は少ない。ましてやそれをアウトプットする人なんて、クイズプレーヤー以外ではあまり見ない。
このノートは、それほどまでに貴重なものなんだ。
阿「へぇ……ほぉ……なるほどね…」
A「あの…読めます？字が…てか楽しいです？それ…」
阿「え？読めますよー！下手じゃないですよ、俺らの字より全然上手。内容も面白いです、知らないことが沢山書いてあって、すごく勉強になる」
A「ほ…ほう…」
阿「これ、次の収録が始まるまで貸しといてください、タイムリーなことも書いてあるから生かせるかも」
A「えぇ…」
阿「お！エリザベス女王の年表！めちゃくちゃいい！」
A「そんなに興奮します…？」
阿「するでしょ！」
エリザベス二世の年表なんてタイムリーすぎる。クイズ番組はタイムリーな問題が出ることが多いから、これは見ておくべき。
…と熱中してるうちに、テレビ局に着いたらしい。ドアを開けてくれた楠さんが、俺の荷物を持ってる。
阿「何してんの」
A「えっ…荷物を…」
阿「俺の荷物は俺がもちます。重い物女の子に持たせられません」
A「女の子って…私はマネージャーですし、なんなら年上…」
阿「年上でも、女の子でしょ？」
俺の荷物は、それこそ勉強道具が入っているから重い。いくらマネージャーとはいえ、女の子にそんなものもたせられない。それは男の矜持だよ。
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作者名：まめ
| 作成日時：2022年10月22日 14時
