帰路 ページ46
佐「おまたせー！帰ろー！」
元気に阿部さんの楽屋に入ってきた佐久間さんは、とっさに空気を読み、黙った。なぜなら楽屋は、それはもう重い空気で満たされていたから。
佐「AちゃんAちゃん、なんか空気おかしくない？」
A「阿部さん、宇治原さんに負けたんですよ、順位で」
佐「にょ！？いつも、負けるのは自分の努力が足りなかったからだから次に繋げればいいって言ってるのに」
A「今回は…賭けをしていたので…」
佐「賭け？阿部ちゃんが？」
A「そうなんです…」
阿「２人とも聞こえてるよ」
佐「はっ！すみませんであります！ところでその賭けというのはどのような…」
おおお佐久間さんぶっこむね…さすが切り込み隊長と呼ばれるだけはある(by 樺さんメモ)
たかがノート1冊と聞いたら驚くんだろうな…
A「お二人とも、そろそろ帰りますよ」
随分と話し込んでいる２人に声をかけると、鞄をつこ掴んでっちに来てくれるので、ドアを開けて駐車場まで向かう。その間もずっと２人で話し続けている。仲いいね。共通点ゼロの両想い(by 楡崎さんメモ)なだけはある。駐車場についても、車に乗っても話してるし
A「出発しますよー、シートベルトしてくださーい？」
佐阿「「はーーい」」
お、よいお返事で。隣同士に座った２人は、まだ話し続ける。よくそんなに話す内容があるもんだ。
小声で話しているつもりなんだろうけど、佐久間さんの声はよく通るしこの車は昨日のに比べて小さいから…
「ノート」「Aちゃん」というワードが丸聞こえですよお二人さん。
ま、ここは聞こえないふりをするのが大人の余裕…なんて思いながら、まずは阿部さんの家まで車を走らせていく。
A「阿部さん、もう着きますよ、用意してください」
阿「あっ、はーい」
コートを着て、鞄をもつ阿部さん。その手には私のノートがあるのは目の錯覚かしら
A「阿部さん、ノートは私のですよ」
阿「えっ？くれるんじゃないんですか？」
A「は！？いつのまにそんなことになったんですか」
阿「いいじゃないですか、読み返さないでしょ。アウトプットしたら満足って言ってたし」
A「だめですよ、そのノートまだ使いかけなんだから！」
阿「じゃあ完成したらくださいね、約束！ではお疲れ様でしたー！」
A「えっ…」
颯爽と走っていく阿部さん。これはもしかして…
佐「やられたね、Aちゃん」
ですよね…
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作者名：まめ
| 作成日時：2022年10月22日 14時
