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アクセルが踏まれ、少しずつ動き出す車。隣の楠さんは、まだ落ち着きがなくキョロキョロしてる。
岩「佐久間の家の方が遠いんで、先に佐久間の家行きましょ」
佐「にょ？近い方から行った方がよくない？」
岩「なるべく１人になる時間が短い方がいいっしょ」
A「お心遣いありがとうございます…」
岩「佐久間の方が話しやすかったら申し訳ないんですけど」
佐「ひかる３番目にでかいもんねー！」
A「いまそれどころじゃないんで大丈夫です」
それどころじゃないって…笑いちいちツボに触れてくる話し方だな笑
佐「Aちゃんガッチガチじゃーん笑」
岩「佐久間、たぶん聞こえてない」
佐「こんだけガチガチじゃねー」
岩「左めっちゃ余裕あるもん。だいぶ右に寄ってるでしょ」
佐「だねー笑」
この会話も聞こえてないんだろうな、きっと。これだけ肩に力が入ってたら絶対疲れる。
その後も仕事の話、プライベートの話を色々していたら、もうまもなく佐久間の家。
佐「そこ左まがってー！コンビニあるからそこで下ろしてー！」
A「えっ！はい！」
佐「コンビニでくじして帰るから！」
岩「嫁か」
佐「そう！ラストワン狙ってんだー！」
A「嫁…」
相変わらずだな…しかも今やってるくじってあれだろ、佐久間の嫁Tシャツでよく見る子。これはガチだな…まぁ佐久間はいつもガチだけど。
A「駐車…」
岩「いい練習になりますね」
A「岩本さん…代わっていただくわけには…」
岩「あそこのコンビニ、駐車場広いですから。がんばりましょ」
A「えぇ…」
佐「にゃははっ、ひかるの鬼教官っぷりがでだしたねー！」
A「が…がんばります…」
岩「ん、頑張りましょ」
鬼教官とは失礼な。佐久間が行こうとしているコンビニは、東京にしてはほんとに駐車場が広い。車幅も大きくとられているから、入れやすいし出しやすい。練習にはもってこいなんだけどな。
だけど案の定、ガッチガチ。そんな不安そうな顔しなくてもちゃんと手伝うから大丈夫だよ。
岩「まだ早いです。はい、いま左きって…そのままそのまま…ハンドル戻して…すこし右にきって…はいまっすぐ…はい！ＯＫ」
佐「Aちゃん、上手じゃーん！」
A「いやいやこれは岩本さんの指示のおかげでして…」
岩「ん？そんなことないですよ」
確かに口は出したけど、実際に運転したのは楠さん。だから俺の力だけじゃない。もうすこし自己肯定すればいいのに。
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作者名：まめ
| 作成日時：2022年10月22日 14時
