その先へ～I'd like to approach～ (ページ22)

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喫煙ルームでの会話の意味＊[N side] ページ22

咲坂が危ないってどういうことだ？

とりあえず、会社のエントランスまで戻ると
翔さんが走ってきた

「翔さん、どういうこと？」

『今日、咲坂の予定表、“直帰”ってなってただろ。打ち合わせ先…お前見たか？』

「あぁ確かに、直帰とはなってましたけど…打ち合わせ先までは、見てないっすね」

『御村物産だよ。あそこは、本来なら男性が担当しなきゃいけない決まりになってるのに、咲坂は1年位前から担当してるらしいんだ…』

「そんな事、聞いたことないっすよ？」

『あぁ、次長クラス以上しか知らない情報だからな。あそこ、社長さんはすごくいい人なのに、杉浦専務は問題があってな…』

「問題…って？」

『取引先の担当が女性だと…100%手出すんだよ…うちの会社でも昔、被害にあってな。うちだけじゃなくて、他の企業も結構被害にあってて…』

そんな事が…今時あるのか

確かに、咲坂は杉浦専務のこと
ちょっと苦手、って言ってたけど…

あっ＿思い出した…

「翔さん、そういえば…今日、喫煙ルームで加賀谷次長が、杉浦専務と電話で話してました…予定通り“直帰させる”って…」

マジか…って事は計画的に直帰させたって事か？

『クソっ。あの時に担当を変えていれば…』

[おーい、翔！おっ、二宮も一緒だったか]

『長瀬さん！』

[お前から頼まれた件、絞れたぞ。この2つのどっちかだ]

長瀬次長の手には
2件のホテルが書かれたメモ

メモを受け取ると顔をしかめる…

『二宮お前、こっちに向かえ。俺、こっち行くから！着いたらフロントで確認してから電話くれ！』

「了解！」

翔さんは俺に指示を出しながら
駐車場へと走って行った

俺もすぐにタクシーに乗り込んで
目的地へと急いだ

どうか…間に合ってくれ…

長瀬さんから受け取ったメモに書かれていたホテルは
どちらも星マークが付くような立派なホテルで

あいつ、浮かれて
ホイホイついて行ってなきゃいいけど…

そんな事を考えてるうちに目的地に着いて
すぐにフロントに向かう

＿＿＿＿

「もしもし、翔さん…ここじゃなかった…多分そっちです」

フロントで確認したけど
今日は予約入ってないって言われて
急に焦りが出てきた…

『わかった。俺も、もう着くから。お前、そこで待ってろ。後で迎えに行くから』

後は翔さんに託すしかない…