切り込み隊長、体調不良であります！ ［前編］

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渡「はい、体温計」




無駄にいい連携であべちゃんに手渡された体温計が、否応なくおれのわきに挟まれる。







目「佐久間くんは、心配されるのが苦手なんでしょ？

自分のせいで迷惑かけてるって苦しくなるから」






ずっと黙ってためめの手が、おれの手に触れる。



ひんやりして、大きくて、心地良い手。







目「佐久間くんのことをラウールが知ったら、……佐久間くんもラウールも互いに無理しちゃうと思う。
収録が終わるまで俺らが支えてあげればいいんじゃないですか」




さすさすとおれの手をさすってくれるめめ。








おれのわきから抜き取った体温計を見たあべちゃんの表情が怖い。




舘「阿部、佐久間おびえてる」


半笑いで言う舘さまだけど、ペットボトルを開けて飲ませてくれる手は優しい。






阿「佐久間のバカ、なんでいっつも我慢ばっか」
あべちゃんが、小さな、だけどしっかりした声で言う。




目「え、何度？」



無言でぐいっと体温計を突き出すあべちゃんと、それを見て眉間にしわを寄せるめめ。






舘「本当にスタッフさんにも言わないでやるんだとしたら、自分の体温くらい知っておいた方がいいね。

＿＿……佐久間、38度5分あるんだから、絶対に騒がないこと。
無理しないこと。
辛くなったら誰でもいいから頼ること。


＿＿いい？」








舘さまにまっすぐ見つめられたら返す言葉がなくて、素直に頷いた。

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