切り込み隊長、体調不良であります！ ［前編］

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佐久間の体調不良なんて、全然気づかなくて。

隠してたコイツもコイツだけど、それ以上に気づいてやれなかった自分自身にイラつく。





佐久間の一言が引っかかって、言おうとしていた言葉を飲み込む。




渡「解熱剤、飲んだのか？」

佐「今日……っていうか、もう昨日？の朝と、昼」



阿部のセリフがよみがえる。

『今無理に下げても、後で上がったときに身体がついてこなくなっちゃったら怖いしなぁ』
俺がラウールに解熱剤を飲ませた方がいいんじゃないかと提案したときの言葉。





渡「解熱剤飲んでも、元気になったわけじゃなくてさ。
安静が必須なのに、昨日一日あんだけ動いてれば、そりゃ熱も上がるわ」



夜になって効き目が切れて、一日の疲れが出て一気に熱が上がり、身体がついてこられなかった。






一言でも相談してくれていれば、解熱剤を飲んで無理する必要も、結果的に戻すこともなかったはずなのに。






佐「ごめん、……ごめん、しょうた。
調子悪いの言っておけば、こんな夜中に起こすことなかったのに」


佐久間の大きな目に張った涙の膜が、今にもこぼれ落ちそうに揺らめく。





渡「あのさ、夜中に起こされたことは問題じゃないんだよ。
……確かにゆっくり寝たかったけど、俺が言いたいのはそういうことじゃなくて。

相談しなかったせいで、佐久間が無理することになってんじゃん。
どうせお前のことだから、ラウールのこともあるしって思ったんだろうけど、それでお前が倒れてんじゃなんの意味もないから」

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