檸檬

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｢深田と付き合ってんの？｣

｢なっ！え！？｣

深田くんが居なくなった途端そんな事を言い出すから、思わぶ口に入ようとした枝豆が勢いよく飛んでしまった

｢めっちゃ動揺してんじゃん(笑)｣

｢そ、そりゃするよ！初対面でそんな事聞かれると思わないもん！｣

｢わりーわりー！気になっちゃってつい(笑)｣

｢で？どーなの？｣なんて問い詰めてくる湧くんは少し怖い。何が知りたいんだろ…

｢付き合ってないよ？本当に仲良いだけで…｣

｢そうなの？それで深田あんなこと言うの怖くねえの？｣

｢あんな事って？｣

｢変なことしないでねって。付き合ってもねぇのにそんな事言うか普通｣

｢普通は……言わないよね｣

そんな事私に言われたって…深田くんがどんな気持ちで言ってんのか。分かるわけないし私だって散々そういう思わせぶりな言葉に振り回されてきた。


｢深田くんて、学校ではそういう事言わないの…？｣

｢言わねぇな〜女子には皆同じ態度。例え自分に好意を寄せてるであろう人にも同じ。｣

意外なようで想像つくかもしれない。
誰にでも優しいのは分かってたけど、私を一喜一憂させた言葉たちは全部全部私の前だけ…？


｢この前隣の席だったの覚えてる？深田が２軒目ドタキャンしてAちゃんの事送るとか言い出した日｣

｢あ…その節は本当にごめんなさい｣

｢なんでAちゃんが謝んの！あれはドタキャンした深田が悪いから(笑)｣

忘れもしない、少し気まずくなってしばらくぽんずに来れなかったあの時
そういえば久しぶりに行った時湧くんは隣のテーブルに座ってた事を思い出した


｢あの後学校でもAちゃんとの関係聞いたけど上手く誤魔化されてさ〜｣

｢誤魔化された？｣

｢そう。彼女？って聞いてもさあ〜？って。でも遊んでるような相手にも見えなくて気になってたからさ｣

なんかどこか引っかかるその言い方
本当にただ気になっただけ？それだけでわざわざ私に話しかけてくる…？


｢湧くんはそれを確認したくて私に声掛けたの？｣

そしたら箸を止めてチラッとこちらを見る湧くん
まるで図星を突かれたような、どこか苦い顔してる


｢嫌な思いさせちゃったらごめん｣

｢それは全然いいけど、本当は何か私に言いたい事があるとか…？｣


そしたら湧くんは眉を下げて悲しげに笑った

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