ホワイトデー<iw mt>3 ページ8
ホワイトデー。
ひかるくんに声をかけられたバレンタインの日よりも、少しだけ暖かい。
あってすぐにお返しのチョコを渡して、早く落ち着きたかった。
でも、いざひかるくんを前にすると頭が真っ白になって何を言えばいいのか分からなくなる。
そんな私を、彼は急かすことなく待ってくれる。
一度深呼吸してから。
『あのね、…これ……バレンタインのお返しなんだけど…。』
「ありがとう、すげー嬉しい。」
彼のニコニコ嬉しそうな顔を見ると余計心臓がうるさくて、もう早く言ってしまおうと決める。
『あの、ね…!…えっと、ひかるくんがあの日声をかけてくれて…、デート…もすごく楽しくて…』
もう一度深呼吸して。
『私、ひかるくんのこと…』
好き、といいかけた唇にひかるくんの指が当てられる。
「待って。俺に言わせてよ。」
びっくりして固まっていると、彼は言葉を続けた。
「あの日…ちゃんとは言えなかったけど。Aのことが好きです。」
チョコを持った手と反対の手を差し出される。
「俺と付き合ってください。」
まだ動揺している私は、それでも、しっかり彼の手をとる。
『よろしくお願いします…!』
…ふと、今日言いたかった秘密のことを思い出す。
どうしてお返しにチョコを選んだか。
…バレンタインの日、気になっていた人にチョコを渡せなかったこと。
…勇気が出ず逃げるように早足で歩いていたら、その本人から声をかけられ驚いたこと。
……本当は私の方がもっとずっと前から、毎日電車で見る彼が気になっていたこと。
顔をあげる。
くしゃくしゃの笑顔の彼を見て、もう少しこの秘密を黙っていようかな、と思った。
*゜。*゜。*゜。*゜。*゜。*゜。
思った以上に長くなりました。
主人公ちゃんはあざとかわいく、hーくんはかっこよく、伏線はちゃんと書けたと思います。満足です。
3人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かぷかぷ | 作成日時:2020年3月27日 3時