第7夜 ページ7
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走る度にギシギシと嫌な音を立てて床が軋む。
この床大丈夫なんだろうか、と不安を感じながら船内を駆け巡る。
もう何度曲がり角を曲がったか分からないが、いますように、と廊下をのぞき込んだ瞬間、見慣れない人影が見えた。
黒いフード、少しうらたぬきさんに似てるような気もするが、背丈的に別人だ。
あの！と声を上げて呼びかければ、人影はぴたりと動きを止めこちらを振り返る。
赤い髪、赤い瞳がしっかりと私を捉え、見つめる。
不思議そうにこてんと首を傾げるその仕草に可愛らしさを感じるが、今はそれどころじゃない。
｢坂田さん、ですか？｣
｢せやで〜、というか誰のかは知らんけど食料ちゃんがこんなとこふらふらしてたらあかんやろ？ほら、保管庫に戻ろうな〜｣
何か勘違いされているのか、まるで赤ん坊を諭すように優しい口調でたしなめられる。
私を捕まえようと伸ばされた手から逃れるにも、ここで逃げてしまっては志麻のところに連れていくことができない。
どうしようかと思考を巡らせていると、近くまできた坂田さんの手が突然バチン、と音を立てて弾かれる。
｢い、ったあ〜……！？君もしかしてうらさんの食料！？｣
｢いや、そもそも食料とかじゃなくて、その、ちゃんと用があってここに来たと言いますか｣
まるでなにか電流に触れたかのような音に驚くがそれはあちらも同じなのか、手を抑えながら涙目でこちらを見てくる。
何が起こったのか全く分からないがこれは好都合だと思い一気に事情を説明することにした。
坂田さんは飲み込みが早いのか、説明し終わる頃には話を理解したらしく、そういうことなら、と先程の部屋に向けて歩き出していた。
｢なるほどなあ〜、お客さんならそら手出せへんし、うらさんの加護がつくわけやわ｣
｢………加護？｣
｢うん。俺らが敵意を持って近付けば弾き飛ばすバリアみたいなもん？めんどくさいよな〜｣
私が聞きたいのはそういうことじゃなくてなんでうらたぬきさんがそれを使えるかなんだけど。
聞く前に先程の部屋に着き、ノックしてから部屋に入る。
そこには苦しそうな志麻がうずくまっており、顔面も蒼白になっている。
目も虚ろで、なんだか見ているこっちが不安だ。
｢坂田、いつもの、あれ、切らした｣
｢あー薬な。はいこれ、欠かさず飲むんやで｣
坂田さんは対応に慣れているのか、慣れた手つきで錠剤が入ったビンを志麻に手渡す。
……それは、一体？
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
