第39夜 ページ39
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｢_____あ｣
見るのもこれで最後になる、この船の廊下を歩いていると3人と出くわした。
様子を見るに、偶然なんかではなく、私達のことを待っていたんだろう。
｢帰るん、だよね｣
｢ん、こっちから出れるようにしといてくれたんやろ？｣
｢うん、突き当たりの扉を現世と繋げるようにしておいたから、そこから帰れるよ｣
志麻の体が変わったところで関係性には全く変わっていないのか、2人は淡々と会話を進める。
センラさんはそんな2人を1歩離れたところで見詰め、坂田さんは視線を地に落としていた。
一応、お世話になったことだし挨拶しておかないと、と思い2人の方に近付く。
1歩、踏み出した途端、坂田さんが勢いよく頭を下げた。
その行動の突飛さに、その場の誰もが一瞬固まる。
｢……坂田、さん？｣
｢ごめんなさい、俺、ずっとひどいことしてた、やんな｣
｢へ？｣
｢俺、気になることは何でも手出してまうタイプで……正直今も、Aちゃんにしてたことが悪いことだ、って言われてもピンと来おへんの、でも、分からないから、謝らなくていいわけじゃ、ないよな｣
｢坂田、お前｣
｢Aちゃんを怖がらせたのは事実なんやから、さ。………ごめんなさい｣
眉を下げる坂田さんを、私はただただ見つめることしかできない。
人間と怪物の価値観の違い、ある程度は理解しているつもりだったから怒るという気にもなれない。
とりあえず下げている頭を上げてもらおうと口を開いた時、横からうらたぬきさんも話しかけて来た。
｢それを言うなら、俺だって利用しようとした。……しかも、それが悪い事だと分かってて。俺からも謝る、ごめんなさい｣
｢え、あの｣
急にそんなに謝られても困ってしまう。
とりあえずこの流れだとセンラさんにも何か言われそうな気がして慌て始めた時、志麻が1歩私の前に出た。
｢あんま俺の子からかうのやめてもらってええかな、それにこいつ、あんま気にしてませんよ｣
｢確かにそうだけど、それを志麻が言うのはなんかやだ｣
自分の言葉を他人に代弁してもらうのはどうもムズ痒いものがある。
最後までそんなやり取りをする辺り、きっと私達は何も変わっていない。
どちらからともなく、1歩、2歩、扉の方へ近づいていく。
そんな私達を止めることなく、3人との距離が離れていく。
1度後ろを振り向き、手を振ってから、
ドアノブを引っ張った。
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
