第37夜 ページ37
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｢はー……ぁ、なんで俺がこんなことせなあかんのやろなぁ｣
手元にのしかかる、志麻くん____いや、志麻くんだった体の重みに顔をひそめながら誰もいない廊下を歩く。
志麻くんは、元の人間の体に戻った。
坂田の編み出した呪文とやらも無事上手くいったらしく、志麻くんの記憶にも、体にも、特にこれといった影響はない。
特に役目がなかった俺は、志麻くんが今まで入っていたゾンビを閉まっておくこと、を頼まれて、今こうしている。
………それにしても、人間、というのはよく分からない。
ありもしないものに縋り付き、確証のないことを信じ、無駄かもしれない行為を繰り返す。
彼女の何がどうして志麻くんの記憶を取り戻したのか、それは、俺の知るところにはない。
けれど、彼女の態度は、彼女の意地の悪さには目を見張るものがあった。
これで彼女が目を覚ましたら、2人でこの船を出て、おしまい。
俺らはまた、いつも通りの日常に戻る。
ハロウィンの日のイレギュラーなお客様との時間も、終わりは近付いていた。
それに、俺はどこか、寂しさのようなものを感じていたのかもしれない。
____というところで、俺は自身を否定するようにふるふると首を振る。
俺と彼女はそもそも種族が違う。
それに、彼女は志麻くんのことが好きなのだから、彼女の思いが俺に向くことは無い、それに、もう会うこともない。
｢今思えば、一目惚れやったんかな｣
船を見上げ、どこか遠くを見詰めている瞳に、強く、強く惹かれていたのかもしれない。
___まあ、こんなことを考えていても仕方ない。
｢ま、お前もようやく解放されて良かったな、………還る時間やで｣
何を言っても返答のない、亡骸に声をかける。
空き部屋のベッドに寝かせ、一瞥した後部屋を出た。
遠くからみんなの声が聞こえてくる。
せめて、見送りくらいはしてもいいだろう。
そう思って、俺は皆がいる所に戻って行った。
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
