第34夜 ページ34
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部屋に入った私がまず捉えたものは、1枚の羽だった。
白くて、綺麗な、羽。
それがどこから来たか、なんて考えずとも次に目に入ったものであることは明白だ。
うらたぬきさんの背中から生えている、翼。
あまりにも綺麗で、少し目が奪われそうになる。
｢ほら、いいタイミングじゃん｣
｢お前なあ、ここに近寄るな言うたやろ……！｣
｢てかなんでセンラもおるん？呼んできてって言うただけで、センラも来いとは言うてへんよ｣
｢物分りの悪いキョンシーですみませんねえ、お客様はエスコートするのがマナーやろ？｣
その場に漂う、重く、不穏な空気に圧倒される。
目には見えないけれど、お互いがお互いに敵意を向けあっている____そんな様子に、見えた。
｢うらたぬきさん、それ____｣
｢俺のことまだ言ってなかったっけ？俺はルシフェル。ルシファー、なんて言ったりもするけどね。名前だけなら聞いたことあるんじゃないかな｣
ルシフェル。
堕天使だとか、悪魔だとかいうのは聞いたことがある。
それならあの囁きは比喩なんかじゃなくて、本当に悪魔の囁きだったのか。
｢志麻を返してください、元の体も、全部｣
｢…まーしぃは記憶を取り戻してないよ、だから｣
｢そういうことじゃないです、単純に、志麻に何かを強制させようとしないでください｣
言葉を遮るのは悪いとは思うけど、そんなことを言っている場合じゃない。
私の切羽詰まった様子がうらたぬきさんにも伝わったのか、うらたぬきさんは何か思いついたのか口元に笑みを浮かべる。
｢____あぁ、じゃあ、いいよ。分かった。とりあえず、こっちおいで？｣
｢？…はい｣
私が1歩前へ踏み出た瞬間、志麻の顔色が一気に焦りへと変わる。
｢バカ、お前今こっちに来んな、頼むから、来るな、って………！｣
｢____！そういう事ですか、ほんま趣味悪いなあうらたんは！｣
センラさんも何かに勘づいたのか、私を止めようと手を伸ばすが、それは空を切った。
坂田さんも口出ししないだけで察しているのか、じーっとやり取りを見つめるばかり。
私だけが状況を理解できない中、1歩、また1歩志麻の方へ近付いていった。
そして、距離がだいぶ縮まった頃だろうか。
志麻と、目が合った。
その瞬間、彼と私との距離はゼロになって_____
______肩に、ひどい激痛が走った。
｢……え？｣
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
