第17夜 ページ17
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おかしい。
志麻は相手の立場なんてあまり気にする人じゃない。
人を、見知らぬ人間を守ろうとする人じゃない。
なのに、今彼がしている行動は、先程からの行動は、『私を守ろうとしている行動』だ。
少なくとも、突き放すような態度じゃない。
でも、どこか不自然なんだ。
｢____し、志麻？｣
彼から返事は帰ってこない。
すたすたと、ただどこかへ向かうばかり。
本当ならここは記憶が戻ったのかも、と喜ぶところなんだろう。
でも、なにか、噛み合わない。
なんだろう、この、もやもやとしたものは。
｢志麻！｣
｢_____んやねん、大きい声出すなや｣
ようやく彼の足が止まる。
いつの間にか彼に握られていた手首は赤くなっており、じわじわと鈍い痛みを感じる。
｢志麻、答えて｣
｢急になんやねん｣
｢………無理、してるでしょ｣
彼の目が、ほんの少し見開かれる。
多分、だけど当たってる。
志麻は今、｢人間の時の志麻｣を想像で、演じてるんじゃないか。
｢……なんでそう思ったん｣
｢志麻は、出会って1日2日の人にこんなことしないよ｣
｢なんや、そっちの俺も同じようなもんなんやな｣
｢言ったでしょ、志麻は志麻だ、って｣
得意気に笑ってみせると、少しだけその場の空気が和んだ気がする。
でも、まだ根本的なことは解決していない。
｢で、なんで人間の志麻の真似なんてしようとしたの？｣
｢強いて言うなら、………興味？｣
｢は？｣
｢俺がお前を気にしてる素振りを見せたら、お前は自惚れるんかなって｣
今度は志麻が私に意地悪な笑みを見せる。
なんだか拍子抜けしてしまった。
せっかく少しでも前進できたのかと思っていたのに、本当は志麻のいたずらだったなんて。
志麻は呆然としている私を他所に、どこかへ歩き出す。
｢じゃ、俺まだ食べてないから行ってくる。あんま変なとこうろちょろしとるんやないで｣
志麻が視界から消えたと同時に、力が抜けてしまいその場に座り込んでしまった。
｢絶対、嘘だ｣
付き合いは長いほうだ、彼の無意識の仕草だって、覚えている。
本能からのくせなのか、彼はゾンビになってもその癖を直していないようで。
嘘をついた時の、ふとした仕草。
彼はそれを、していた。
記憶を取り戻していない、興味は嘘。
なら、残りの理由は何？
｢……………まさか、本当に気にしてくれてる？｣
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
