第11夜 ページ11
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視界が滲む。
志麻が、そんな事思ってくれてるなんて、初めて知った。
欲を言ってしまえば本人の口から聞きたかったけど、そんなことも言ってられない。
｢………ま、抵抗むなしく志麻くんは記憶を失って今や別人やけどね。それよりも俺が気になるのは君のことやねん、Aちゃん？｣
人が感動的になっている時に、この人は本当に嫌なタイプの人だ。
何も言い返せないのは、それが正しいから。
正しいからこそ、むかついてしまう。
｢………何ですか｣
｢志麻くんの記憶を取り戻せたとします、そしたら、どうしたいん？｣
｢どうしたいって、そんなの、また一緒に過ごせるように_____｣
｢そこやねん｣
はっきりと、私の主張を否定するように、センラさんは言葉を切る。
視線を向ければ、そこには暗い室内でもはっきりと分かる黄色の目が私を見詰めていた。
｢前と全く同じなんて無理かもやで？志麻くんの体を人間からゾンビにしたのは坂田や、志麻くんが元の体に戻れるかも分からへん。それに、ここでの記憶はどうなるん、それこそそこを突いてうらたんが何かするかもしれん｣
次々と並べられる考えてもいなかった疑問店。
確かに、時間は与えてくれるとは言っていた。
でも、志麻の記憶を取り戻したとしたらどうなるか、なんてのは全く聞かされていない。
突然現れた大量の問題点に頭を悩ませている私の横で、センラさんはそれに、と付け加えた。
｢一応この船の大事な戦力でもあるんです。……それこそ明確な意思を持ってない人間に持ってかれるのは俺としても納得いかへんねん｣
その言葉は先程までの軽い口調とは違う、本心からの言葉に感じた。
私も本気だけど、きっと、彼も本気なんだろう。
だからこそ、諦めるわけにはいかない。
でも、解決策があるのかと聞かれたら、何も言えない。
｢そんなすぐ答えが出るとは思ってません。…せやから、答えが出た時にでも俺に教えてください、待ってますんで｣
そう言われ、今日は部屋に帰るように促される。
少しでも志麻のことが聞けたし、何より今から書類を漁る気力は残っていないので言う通りに部屋に戻ることにする。
私は、志麻の記憶を取り戻して、どうしたいんだろう。
今こそうらたぬきさんは協力してくれているが、記憶を取り戻した時にはきっと敵対すると思う。
どうしようか、なんて悩みながら、慣れないベッドに横になった。
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クロナ - 涙目になりながら読ませて頂きました。とても面白い話でした！ (2019年1月23日 0時) (
レス) id: 95383b2889 (このIDを非表示/違反報告)
心愛 - とてもよっかたです！夢主ちゃんと四人が再会するお話とかその後話が欲しいです！ (2018年11月27日 21時) (レス) id: 1b1d47c664 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - ゆづきさん» コメントありがとうございます、まだまだ拙い文ですがそう言っていただけて感無量です…！閲覧ありがとうございました！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - つぼみさん» コメントありがとうございます、少しでも作品の雰囲気を楽しんでいただけでとても嬉しいです！期待に応えられるよう頑張ります！！ (2018年10月31日 7時) (レス) id: 5df9928a5a (このIDを非表示/違反報告)
ゆづき - 感動した。ただその一言です！愛が感じられるとても素敵な作品でした！ (2018年10月30日 18時) (レス) id: 5ea47c424e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：史緒 | 作成日時：2018年10月3日 23時
